インデックスファンドの起源

 インデックスファンドとは先に述べたような株価指数に連動することを目的として設計された投資信託を指します(ETFも、その大部分はインデックスファンドです)。

 1965年にMIT(マサチューセッツ工科大学)の経済学者、ポール・サミュエルソンが「ある株の内在価値は、そのとき株式市場でついている株価以外の何物でもない」と主張する論文を発表しました。

 同じく1965年にシカゴ大学の博士課程で学んでいたユージーン・ファマが「株価は絶えずその時に知りうる最新の情報を織り込んでいる」とする、効率的市場仮説を発表します。

 これらの研究者の功績に基づき、1971年にウエルズファーゴ銀行のジョン・マクオウン、ウイリアム・ファウス、ジェームズ・ヴァーティンの3人が株価指数をなぞる最初の年金ファンドを設計しました。このファンドはニューヨーク証券取引所に上場されている1,500銘柄を等分加重した指数をなぞるように設計されました。

 しかし、このファンドは1,500銘柄を等分加重するという設計が内包する致命的欠陥のために失敗します。なぜなら、指数を構成する個々の銘柄の株価が変動するたびに、等分加重された同指数と、ファンドが保有しているポートフォリオの価値が乖離(かいり)してしまい、絶え間ないリバランスの必要から売買コストが嵩(かさ)んでしまったからです。

 そこでウエルズファーゴ銀行は、1973年に今度はS&P500指数をなぞるように設計されたクローズド(会社)型投資信託を発表します。これがインデックスファンドの最初の成功例です。

 同じ年、プリンストン大学のバートン・マルキールが『ウォール街のランダム・ウォーカー』という著書の中で、それまでにいろいろな人によって試みられた効率的市場仮説の主張をまとめ、個人投資家が簡単に投資できるインデックスファンドの組成を主張しました。

 このような時代の流れを受け、1975年になるとジョン・C・ボーグルがバンガード・グループを起業し、最初の個人投資家向けインデックスファンドの販売を始めます。