インデックスファンドにできないこと
それを断った上で、インデックスファンドにできないことに関しても、投資家は注意を払う必要があると思います。
まずインデックスファンドは株価指数を忠実になぞるように設計されている関係で、マーケットそのものが下がったときは、損から逃げることはできないという点です。
実際、1990年以降の日本の株式市場は、長期下降トレンドを辿ってきました。すると株価指数も下がるわけですから、当然、インデックスファンドを買っていても損が出るわけです。
つまり長期下落相場では、インデックスファンドは「効率よくお金を損することができる投資機会」以外の何物でもないのです。
別の言い方をすれば、インデックスファンドに投資する場合でも、そもそも市場全体の投資環境が良いか、悪いか? の判断から個人投資家は逃れることはできないということです。
ところが、インデックスファンドを好む投資家ほど、経済や企業の動向に無頓着で、構造的かつ深刻な、マーケットにとってのアゲンストの風が吹いている状況を無視する傾向があります。
インデックスファンドの投資家が、思うようなリターンを得られていない理由は、インデックスファンドの商品設計が悪いからではありません。
むしろ、本来スグレモノ商品であるはずのインデックスファンドという商品がもつ限界、その特性をきちんと理解していない、投資家のリテラシーの欠如が投資リターンを蝕(むしば)んでいるのです。
繰り返し言うと、インデックスファンドは優れたツール(道具)です。しかし道具は、それを使う人の能力以上の力は発揮できないのです。だから「インデックスファンドを買っておけば、投資の勉強をする必要から解放される」と考えるのは間違いです。