材料別、コモディティ銘柄の変動を整理

 下期の各銘柄の値動きを考える上で、上述した各銘柄のキーワードを、“共通の材料”と“独自の材料”に分類してみます。

 上述したキーワードだけが価格の変動要因ではありません。この点については、先述の銘柄別の値動きを確認した箇所で述べたとおり数週間や数カ月単位のトレンドを形成するための要因となった材料であることを重視し、かつ、専門家しか知らない材料をできるだけ除くという意図を持ってキーワードを選定しました。

 図:2019年上半期の材料の分類

出所:筆者作成

 

 このように分類すると見えてくるのは、“米中貿易戦争”、“米利下げ観測”、“中東情勢”の3つの共通の材料が、原油から穀物まで、幅広い銘柄に影響を及ぼしたことです。

 2019年上半期、独自材料が目立たなかった(ないわけではない)NYダウ、NY銅、NY金、ドル指数においては、“共通の材料”に影響を受けてトレンドを形成した、原油ととうもろこし、大豆においては“共通の材料”“独自材料”両方の影響を受けたといえます。

 共通の材料の頂点には前回のレポート「トランプ米大統領、再選に向けて始動!世界経済を揺るがす影響力を分析」で述べたとおり、トランプ大統領の存在があります。トランプ大統領が再選を目指す意欲を強めれば強めるほど、共通の材料の温度感が高まるとみられます。

 トランプ大統領の再選を望む意思は非常に強いとみられ、その意味では“共通の材料”は、下半期も(米大統領選挙は2020年11月)、幅広い銘柄に強く影響し続けると考えられます。

 そこに、独自材料が、どれだけ強いインパクトを与えるかが注目点になりそうです。

 全体的には、トランプ大統領を頂点とした共通の材料が幅広い銘柄の動向に影響を与えながら、比較的独自材料の影響が強い銘柄においてはその独自材料を消化しながら価格が推移する、というイメージだと考えています。