以下、2018年1月以降の原油先物の動きを解説します。

【1】2018年1~10月:上昇トレンド

 世界景気が好調であったこと、OPEC(石油輸出国機構)諸国の減産が続いていたことから、2018年は10月まで原油価格の上昇トレンドが続きました。米国がイランへの経済制裁を再開し、2018年11月からイラン産原油の禁輸を実施すると宣告していたため、11月が近づくにつれ、イラン産原油の供給減少懸念から、投機筋の買いが継続。また、トランプ米大統領が、イラン産原油の禁輸に違反する企業に重い制裁を課すことを示唆していたため、供給不足懸念が強まりました。

【2】2018年11~12月:急落

 ところが、実際に11月になると、米国は、イラン産原油禁輸の「適用除外」に、日本を含む8カ国・地域を指定しました。この発表を受けて、原油は急落。それに加え、中国景気悪化で中国需要が減速する思惑も出て、原油の下げ材料に。また、米シェールオイルの増産が続き、米国の石油在庫が増加してきたことも、売り材料となりました。

【3】2019年1~4月:反発

 米中通商交渉が近く合意に達する期待が広がり、貿易戦争で減速している世界景気も回復に向かうとの期待が出ました。それを受け、原油も買い戻されました。

【4】2019年5-6月:反落

 再び米中貿易戦争がエスカレート。世界景気が悪化する不安が強まり、原油価格は反落しました。米シェールオイルの増産が続いていることも、売り材料に。6月13日に、ホルムズ海峡でタンカーが攻撃を受けたニュースを受けて、一時的に反発しましたが、その後、上値が重くなっています。