【1】ホルムズ海峡で次々とタンカーが攻撃される事態は想定されない

 今回の攻撃はどんな組織が行ったのか、現時点でまったくわかりませんが、今回の攻撃を受けて、ホルムズ海峡への国際的な監視の目は厳しくなると想定されます。次に攻撃が行われれば、攻撃を行っている主体がどこか露呈する可能性が高いと言えます。そのような状況で、さらに攻撃が続けられるとは考えられません。

 特定の国が関与している可能性は低いと考えられます。ホルムズ海峡を経由して原油が輸出できなくなることを望んでいる国はないからです。もしホルムズ海峡が封鎖されれば、イランは原油が輸出できなくなるので、大きなダメージを受けます。

 何らかの考えを持った組織が独自に行動したと考える方が自然です。どんな組織にしろ、同じような攻撃を何度も実行できるとは考えられません。中東原油が輸出できなくなることは、中東諸国全体の利益に反するからです。

【2】ペルシャ湾岸で戦争があってもホルムズ海峡が封鎖されたことはない

 ペルシャ湾で戦争やテロが起こると、ホルムズ海峡が封鎖され、中東原油の供給が細るという思惑から原油価格が一時的に上昇します。ただし、これまでは時間の経過とともに、原油価格は反落に転じることが多かったと言えます。実際にホルムズ海峡が封鎖されたことがないからです。

 たとえば、イラン・イラク戦争の開戦が避けられなくなった1979年、原油供給停止の思惑で原油価格が急騰したのが、第二次オイルショックでした。ところが、実際にイラン・イラク戦争が始まり、10年間続いた間も原油輸出は続きました。戦争をしている間に、原油価格は大きく下落しました。

 イラク内戦が激化した時も、イラクからの原油輸出は続きました。戦争で原油供給が停止したことは、過去にはありませんでした。

 原油先物価格は、米国でのシェールオイル生産の増加・世界景気の減速懸念を受け、5月以降、下落していました。今回、原油価格が反発しましたが、一時的と考えています。世界景気に回復の兆しが出て、世界的に株高が進む環境になる時まで、原油価格が本格的に反発トレンドに入ることはないと考えています。

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