理論値計算の前提は、米インフレ2%、2年金利2%、日米金利差2%

 ドル/円フェアバリューの計算方法について、詳しく解説すると長くなり過ぎるので、今日は結論だけお話します。

 ドル/円を動かすもっとも重要なファクターは日米金利差です。なぜならば、現在、ドル/円を動かす最大の要因が資本収支だからです。その資本収支にもっとも大きな影響を及ぼすのが日米金利差です。

 ドル/円のフェアバリューを決める、もう1つの重要ファクターが、購買力平価(企業物価ベース)です。購買力平価から20%以上かけ離れた円安が進むと、政治圧力から円高が進みやすくなります。

 日米金利差が2%に収束することを前提とし、購買力平価をあわせて計算すると、今のドル/円フェアバリューは、1ドル=110円となります。

 私は、米コアインフレ(消費者物価コア指数の前年比上昇率)、2年金利(米2年国債利回り)は、長期的に2%に向けて収束しつつあると考えています。日本のインフレ率、長期金利ともゼロが続くと考えていますので、日米2年金利差は、2%に向けて収束する過程にあると考えています。

 それを前提に、ドル/円のフェアバリューは110円と計算しています。なお、今後、私の計算で、理論値が大きく動くときは、本レポートで報告します。

米国のコアインフレ率と平均賃金上昇率の推移:2011年1月~2019年4月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

ドル/円為替レートと、日米2年金利差の動き:2008年1月~2019年5月(27日)

出所:楽天経済研究所が作成

 繰り返しになりますが、実際の為替レートは理論値を無視して動くものです。短期的に異常値(1ドル=100円割れ)があれば、積極的にドルを買う好機になると思います。また、逆の異常値(1ドル=120円を超える円安)があれば、ドルを売っていったほうが良いと考えます。

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