あきらめるのは早い?

 端的に言って、今の状況で消費増税はやらない方がいい。

 前述のように、増税は景気にも物価目標の達成にもマイナスの効果を及ぼすだろうと考えられ、これが避けられるためには、世界景気が予想を超える拡大を実現する幸運な状況を待つしかない。

 日本株が、「世界景気の景気循環株」になって久しいが、日本が増税のマイナス効果を抱えながら世界経済の同行に任せて漂う経済運営が適切だとは思えない。自国でできることはやるべきだ。

 また、米国のFRB(米連邦準備制度理事会)及び欧州中銀は政策金利の引き上げを止めて、米国に至っては年内に利下げへの転換も論議される状況で、日本が金融引き締め効果をもたらす消費税率引き上げを行うことは世界の政策協調的にも不適切だし、日本にあっては円高を招きかねない。

「それでも、やるのか?」は政治の決断次第だ。筆者は、「必ずそうなる」とはとても言えないが、消費増税凍結ないしは再延期の可能性がまだ残っていると考えている。政治的な状況にも左右される問題だが、あってもおかしくはないのではないか。

 景気と物価に対する悪影響に加えて、コンビニで買った食品を、コンビニの中で食べるか、外に持ち出すかで税率が異なるというような、いかにも「不細工な制度」が本当に実現するとしたら、かなり残念な状況だ。

 仮に消費増税が中止された場合には、日本株にとってはサプライズ的なプラス材料になり得るのではないだろうか。メインシナリオとして、あてにすることはできないが、投資家は、「少々の期待」なら持ってもいいのではないだろうか。

 政府及び政治家の正しい政策判断に期待したい。