テクニカル分析の有効性についての議論

 ここで、少し話が脇道にそれてしまいますが、トレンド分析ひいてはテクニカル分析そのものへの否定的な見方についても考えてみたいと思います。つまるところ、テクニカル分析は有効ではなく、意味がないというものですが、有名なものとして、「ランダムウォーク理論」と「効率的市場仮説」が挙げられます。

ランダムウォーク理論とは

 ランダムウォークを簡単に言ってしまうと「酔っ払いの千鳥足のごとく、株価はふらふらと不規則に動くもの」とする理論です。

 今の株価は既存の材料がすべて反映されたものであり、いくら過去の株価の動きを調べても未来を予測するのは不可能だし、明日の株価が上がるのか下がるのかは五分五分の確率。だから、仮にトレンドっぽい値動きになっていたとしてもそれはトレンドではなく、株価は規則性とは関係なく動くものである、というわけです。

効率的市場仮説とは

 もう一方の効率的市場仮説ですが、言葉の通り「市場は常に効率的に動いている」という理論です。株価があらゆる材料を織り込んでいるという点では「ランダムウォーク理論」と共通しています。

 現在は株価を動かすニュースや情報はすぐに投資家の元に届けられ、それを元に市場で売買が繰り広げられている他、株価と企業価値の分析も過去のデータを駆使して高度化され、市場の効率化が進んでいます。

 株式市場では常に新しい情報が生まれ、そのたびに株価も変動していきます。足元では国内企業の決算シーズンが本格化していますが、予想以上の好業績を発表した企業の株価はすぐにそれに見合った水準にまで上昇していきます。

 このように、株価が効率的ならば、次に株価が変動するのは誰も知り得なかった新しい材料が生まれたときになります。ただ、その材料が株価にとってプラスなのかマイナスなのかは前もって分かりません。結果として、株価はランダムに動き、過去の動きを参考にするテクニカル分析は役に立たないというわけです。