ISM製造業景況指数が低下しても不安は広がっていない
3月1日に発表された、2月の米ISM製造業景況指数は、事前の予想通り、低下しました。
米ISM製造業景況指数の推移:2014年1月~2019年2月
昨年、米国株の上値を抑えていたのは、利上げ加速の不安と、貿易戦争エスカレートの不安でした。足元、2つの不安とも緩和しつつあることが、NYダウの強さにつながっています。
また、米景気減速も、予想ほど深刻ではないと、考えられています。米中貿易戦争が、一定の落としどころに落ち着くならば、米国も中国も景況が持ち直すとの期待があります。
1.パウエルFRB議長がハト派に豹変、株式市場に配慮
昨年までタカ派発言を繰り返していたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、今年に入ってから、一貫してハト派発言を繰り返しています。利上げを急がないだけでなく、イエレン前FRB議長が始めた、FRBの保有資産縮小(量的引き締め)を年内にも終了する方針を打ち出しました。
2.米中とも貿易・ハイテク戦争でいったん休戦合意したい模様
2月までに米中通商交渉で合意を得ることはできませんでしたが、米国は、中国向けの制裁関税の引き上げは行なわず、継続協議しています。4~5月中に、何らかの合意を得ることが期待されています。
貿易戦争が、中国景気にも米景気にも悪影響を及ぼし始めていることから、両者ともいったん休戦したいと考えている模様です。4~5月に何らかの合意に落ち着くと考えられます。
ただし、それで解決ではありません。将来、米中の貿易・ハイテク戦争は、何度でもぶり返すでしょう。米中の対立は長期化が予想されます。ただ、目先は何らかの合意を作って、いったん休戦することを目指していると考えられます。
日本株は、長期投資で買い場の見方を継続
「1-3月が2019年の世界景気悪化を織り込む株安の最終局面になる」との予想を継続します。4月以降は、2020年の世界景気回復を織り込んで、世界的に株が上昇すると考えています。
ただし、1月からの世界株高は、ややピッチが速すぎると感じています。3月には、世界の政治経済で大きなイベントが多数控えています。足元、日経平均のボラティリティ(変動性)が低下していますが、3月には再び荒れる可能性も残っています。
長期投資で日本株は買い場との見方は変わりませんが、できれば押し目を待って買い出動した方が良いと思います。
ただし、「押し目待ちに押し目なし」となる可能性もあるので、大きな押し目がなくても、時間分散しながら少しずつ日本株の保有を増やしていって良いと考えています。とりあえず、株価指標で見た割安度がきわだっている「三大割安株」などから買っていくと良いと思います。「三大割安株」については、以下、著者おすすめのバックナンバーのレポートを参照してください。
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