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 昨年3月に米国が知的財産権の侵害等を理由に、中国に対して制裁措置をとると発表してから約1年が経とうとしています。特に昨年夏以降、米中貿易摩擦問題は世界経済の減速や株式市場への懸念材料となってきました。しかし、年明け以降は90日間の『米中貿易協議』が行われ、関税引き上げが延期されることとなり、株式市場の懸念は和らぎました。今後も最終合意に向けて協議は続けられると見られます。

 

【ポイント1】昨年12月の米中首脳会談で、『米中貿易協議』の実施を決定

米国は「十分な進展があった」との認識から、交渉期限と関税引き上げを延期

 昨年12月初旬、トランプ米大統領と習近平国家主席は首脳会談を行い、当初2019年1月から見込まれていた米国による2,000億ドル相当の中国製品に対する関税引き上げを猶予し、3月1日を期限として90日間の『米中貿易協議』を行うことが決まりました。

 2019年の年明け以降、その『米中貿易協議』が始まりました。両国は貿易協議を重ね、2月21日~24日にワシントンで開催された閣僚級協議の後、トランプ米大統領は「構造問題で十分な進展があった」とし、交渉期限翌日の3月2日に予定されていた関税引き上げを延期することを表明しました。

 

【ポイント2】『米中貿易協議』の主要議題は?

現時点で多くの項目において進展があった模様

 90日間の『米中貿易協議』では、「技術移転の強要」、「知的財産権の保護」、「非関税障壁」、「サイバー攻撃」、「サービス産業と農業の市場開放」における中国の構造改革が主な議題とされました。

 トランプ米大統領によれば、このうち「知的財産権の保護」、「技術移転の強要」、「サイバー攻撃」などに加えて「通貨」の項目でも進展があったようです。

 

【今後の展開】最終合意や米中首脳会談開催に向けて協議が続けられる見込み

『米中貿易協議』はひとまず進展が見られたものの、今後も最終合意に向けて協議は続けられる見込みです。関税引き上げの猶予期間は明らかにされていませんが、1カ月程度ではないかと見られています。

 今後は、残された議題における合意と、合意内容について今後どのように履行検証を行っていくか、などについて協議が行われる予定です。また、これらについて最終的な合意に達すれば、3月下旬にも米中首脳会談が行われると見られます。ただし、中国はハイテク産業を始めとする産業政策の抜本的な見直しには依然慎重と見られ、最終合意に向けて、今後も『米中貿易協議』の具体的な進捗が注目されます。