日経平均は、裁定買い残が減少している間、つまり外国人が先物を売っている間は下落します。ところが、裁定残が増加に転じる、つまり外国人が先物買いに転じると、上昇に転じます。2007~2016年は、裁定買い残が、3,000億~6,000億円まで減少したところで、日経平均先物を買えば、タイミングよく日経平均が反発に転じ、利益を得られていたと言えます。

 2019年1月4日時点で、裁定買い残高は、いったん5,840億円まで減少し、そこから上昇しました。日経平均もそこから反発しました。ただし、裁定買い残高は再び減少し、2月8日には5,673億円まで低下しています。海外ヘッジファンドの先物買い建てが減少し、空売りが増えてきたと推定されます(あくまでも推定)。先物需給のみから判断するならば、短期的な「売られ過ぎ」シグナルと見ることができます。

 

裁定残を見ながらトレーディングする際の注意事項

 1つ注意すべきことがあります。裁定買い残はかなり低い水準まで減少しましたが、裁定残だけで投資判断すべきではありません。裁定残がいくらまで減ったら増加に転じるという明確な法則はないからです。その時々で、裁定残が底を打つ水準は異なります。過去には、3,000億~4,000億円まで減少したこともあり、現在の5,673億円が底になると決め付けることはできません。

 海外ヘッジファンドの空売り残高が高くなっている可能性を意識しつつ、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)の変化も見ながら、投資判断を行うべきです。

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