NYダウが強く日経平均が弱いのは、過去30年続いてきたこと

 NYダウ平均株価が強く、日経平均が弱いのは、今に始まったことではありません。日経平均が、バブル相場で最高値(3万8,915円)をつけた1989年12月末から比較すると、日米の株価パフォーマンスには以下のような差がついています。

日経平均・NYダウの動き比較:1989年末~2019年2月(19日)

注:1989年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 上のチャートを見ると、NYダウがバブルのように見えますが、そうではありません。バブル相場では、利益を無視して夢だけで株価が上昇しますが、NYダウは利益を無視して上昇してきたわけではありません。1株当たり利益の増加を反映して上昇しただけです。

 株価の割安度をはかる代表的な指標にPER(株価収益率)があります。1株当たり利益の何倍まで株価が買われているかを示します。世界各国の主要株価指数は、だいたいPER10倍~20倍の範囲で評価されてきました。米国株のPERは、だいたい13~20倍の範囲で推移してきました。現在約17倍で、米国株に特に割高感はありません。

 米国では、2010年以降、利益も株価も継続的に上昇してきました。シェールガス・オイル革命、ITインフラ支配、大型減税などによって、米国企業は利益を拡大させ、それに伴って株価が上昇してきたと言えます。

 

「裁定買い残」が5,673億円まで減少、外国人の短期筋は日本株を見捨てている状態

 私がファンドマネージャー時代に、日経平均先物のトレーディングをする上で、重視していた需給指標に、「裁定買い残高」があります。詳しい説明は割愛しますが、裁定買い残の変化に、外国人による投機的な先物売買の変化が表れます。

 外国人が先物を買うと、日経平均が上昇し、(裁定取引を通じて)裁定買い残が増加します。外国人が先物を売ると、日経平均が下落、(裁定解消売りを通じて)裁定買い残が減少します。

 近年の日経平均および裁定買い残は、以下のように推移しています。

日経平均と裁定買い残高の推移:2007年1月4日~2019年2月19日(裁定買い残高は2019年2月8日まで)

注:東京証券取引所データに基づき楽天証券経済研究所が作成

 裁定買い残は、2007年以降、3,000億~6,000億円まで減少すると、増加に転じていました。リーマンショック後の安値(2009年)、ブレグジットショック後の安値(2016年)では、裁定残は3,000億~6,000億円まで減少してから底を打っています。