減産の基準月に比べて生産量が大きく減少したのは、順守率と無関係の減産免除国

 OPEC14カ国で大幅減少となったものの、減産順守ができなかった理由は、以下の2つであるとみられます。

(1)減産に参加する11カ国の2018年12月の生産量が高水準だったため

 11カ国の2019年1月の生産量が前月比で大きく減少したものの、減産順守には至りませんでした。11カ国とは、サウジ、アンゴラ、クウェート、UAE、アルジェリア、コンゴ、赤道ギニア、エクアドル、ガボン、イラク、ナイジェリアです。

(2)14カ国のうち減産に参加していない3カ国の生産量が減少したため

 3カ国とは、ベネズエラ、リビア、イランです。

 図6は、理由(1)に挙げた減産に参加しているOPEC11カ国の原油生産量の推移です。

 12月の生産量が高水準で、1月の生産量が12月比で大幅減少となったものの、減産時の上限を下回る(減産を順守する)ことはできませんでした。

図6:OPEC11カ国の原油生産量(合計)の推移

注:注:クウェートのみ減産基準月は2018年9月
単位:千バレル/日量
出所:OPECのデータより筆者作成

 また、図7は、理由(2)に挙げた減産に参加していない3カ国の原油生産量の推移です。

図7:OPEC3カ国(ベネズエラ、リビア、イラン)の原油生産量(合計)の推移

単位:千バレル/日量
出所:OPECのデータより筆者作成

 この3カ国は減産に参加していないため、いくら3カ国の生産量が減少しても減産順守率を引き上げる効果はありません。

 図8は、OPEC14カ国(11カ国と3カ国)における、減産基準月(原則2018年10月)と2019年1月の原油生産量の変化を示したものです。

図8:OPEC14カ国における、減産基準月と2019年1月の原油生産量の変化

注:クウェートのみ減産基準月は2018年9月
単位:千バレル/日量
出所:OPECのデータより筆者作成

 2019年1月の原油生産量から減産基準月(原則2018年10月)の原油生産量を差し引いた値で、値がプラスの場合は2019年1月の生産量が2018年10月よりも増加したことを、マイナスの場合は減少したことを示します。

 この間の、減産に参加していない3カ国の減少量の合計は、減産に参加する11カ国の減少量の合計を上回ったことが分かります。

 イランの原油生産量は、5月上旬まで猶予されているものの米国の制裁による影響で減少し続けています。2019年1月の同国の生産量は、制裁が宣言された2018年5月以降の最低です。

 ベネズエラの原油生産量は、2016年ごろからすでに長期減少傾向にあり、現在の政情不安の激化が追い打ちをかけ、減少傾向に歯止めがかからなくなっています。2019年1月の同国の生産量は、長期減少傾向がはじまった2016年初旬以降の最低です。

 今後、減産に参加している国のうち、イラクやナイジェリアなど、比較的生産量が多く、目標とする削減量が大きい国々の減産順守が必要不可欠と言えます。