1月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ
1月の新興株は、最初から最後まで“バイオ”でした。1月は日米の株式市場ともに、“悲観の揺り戻し”がテーマ。12月のリスクオフの巻き戻し、東証1部でも業績懸念が残る景気敏感株ほど強く戻しました。リターンリバーサル相場の源泉は「買戻し力」。
下げがきつかった銘柄ほど買戻し局面のリバウンドも大きくなります。買戻しの力で株価が上がると、株価のボラティリティが低下します。そうなると、自動的に株のウエイトを引き上げる動きが広がります(株安時に「リスクパリティの売り」と呼ばれる話の逆)。
市場全体が「下がった銘柄を探せ」なるムードを強める過程で、12月に指数として史上最悪の月間▲19.7%を記録していたマザーズ市場は格好のターゲット。米国でも、連動性の高い小型株指数のラッセル2000が1月は月間+11.2%と大きく上昇しています。
また、NASDAQの業種別指数でも、最もパフォーマンスが高かったのが「バイオテクノロジー」でした(1月は月間+13.4%)。バイオ株の多いマザーズ市場でも、バイオ株が人気化。時価総額トップのサンバイオや、オンコリスバイオファーマ、そーせい、サイバーダインなどが循環的に盛り上がりました。
月後半は、サンバイオ1銘柄でマザーズ指数の上昇分の全てが説明できる日もありましたが、12月末に812ポイントだったマザーズ指数は、月間高値では1月21日に979ポイントまで約2割上昇(この日はサンバイオが上場来高値1万2,730円を付けた日)。
ただし、これで終わりじゃなかった1月のマザーズ市場。マザーズのエースで四番的存在だったサンバイオが、29日引け後、再生細胞薬「SB623」の慢性期脳梗塞を対象とした米国でのフェーズ2b臨床試験の解析結果速報を発表。結果は「主要な評価項目を達成できなかった」でした。
売りが殺到したサンバイオの売買成立は困難な状態になり、他の銘柄(とくにバイオ株)を価格無視で売る動きに発展。このネガティブ材料が出る直前、29日時点でサンバイオの指数ウエイトが13.7%あったこともあり、サンバイオのストップ安による指数押し下げ影響は甚大でした。30日にマザーズ指数は8%安。ただ、この分を踏まえても1月トータルではマザーズ指数は月間+10.5%、日経ジャスダック平均は+5.2%と上昇。誰も想像しえなかった波乱の1月相場でした。