2月に注目したい新興株の動き

 ここから新興株を見ていくうえで、まず一番大事なことは「価値観を変えること」です。変えるというか、「価値観を戻すこと」これが大事です。1月29日までのマザーズと、2月5日以降のマザーズは大きく違うことを知っておいてください。

 “サンバイオショック”前(1月29日まで)のマザーズは、マザーズ指数の13.7%がサンバイオでした。サンバイオ1銘柄が盛り上がり、1日で株価が20%上がれば、それだけでマザーズ指数は2.7%くらい上昇します。1銘柄の力で、新興株全体が盛り上がっているように演出できたほどでした。

 これが全株一致した2月5日時点では、サンバイオが占めるマザーズ指数における構成比率は3.1%まで低下しました。メルカリ(6.7%)、ミクシィ(6.2%)、サイバーダイン(3.6%)、そーせい(3.3%)に次ぐ5番手に。この状態で、株価が20%上がっても、マザーズ指数は0.6%しか押し上げられません。常に中心にあったサンバイオですが、今回の件を消化し、マザーズ指数を左右する存在ではなくなりました。

 サンバイオ株の上下が、個人投資家の心理を上向かせたり、下向かせたりすることも考えにくくなりました(※今回の急落で大きな損失を追った投資家が大量に生まれたことによる負の影響は確実に残りますが・・・)。

 1月29日時点のサンバイオの信用買い残は、金額にすると「386億円(信用買い残344万4,500株×1月29日終値11,710円)」。この時点のマザーズ銘柄の信用買い残の合計が2,243億円で、比率にして「17.2%」に及んでいました。それが今回の株価急落により、(同じ信用買い残の株数としても)金額では「85億円」に激減。マザーズ銘柄の信用買い残全体に占める比率は「4.4%」に低下したためです。

 昨年11月の「SB623」外傷性脳損傷のフェーズ2好結果から始まったサンバイオ相場。この手前時点のマザーズ市場に戻った・・・これが事実で、だからこそ「価値観を戻す」ことがまずは大事なわけです。一度リセットした状態から改めて2月の新興株市場を考えると、やはり通常通り“決算発表”という鬼門が待ち構えることに注意したいところ。

 全マザーズ銘柄の約7割が、2月7日~14日の5営業日の間で決算発表します。この集中期の中でも、まずはサンバイオの下落で指数ウエイトが繰り上がったメルカリ(4385)とミクシィ(2121)が決算発表する7日が重要日。12日にはそーせい(4565)、14日にはサイバーダイン(7779)と続きます。個人投資家に人気のALBERT(3906)は15日です。

なかでも、そーせいとALBERTは本決算発表。19年12月期の営業黒字転換がコンセンサスになっているそーせい、同営業利益の2.3倍増がコンセンサスとなっているALBERT。いずれも高いハードルが設けられています。これを越えられるか?決算を待つしかないのですが・・・。

 最後に、今回のサンバイオショックから学んだこと――東証マザーズ指数先物が上場したのが、2016年7月。

 今回、サンバイオが治験結果を発表した1月29日引け後、夜間取引ではマザーズ指数先物を867~890ポイントで売ることができました(翌日の日中取引の終値は832ポイント)。参加者が少ない分、有利な価格で売りヘッジを少し入れられたわけです。

 マザーズの主力株でまとまったポジションを持っている場合、この先物を売買できる環境は作っておくべきだと思います。