日経平均・NYダウともに反発。ただし日経平均は円高で上値重い

 先週の日経平均株価は、1週間で338円上昇して、2万1,720円となりました。NYダウの反発が続いたことから、再び、世界的に株を買う流れが復活しました。

<日経平均日足:2017年10月2日~2018年2月16日>

 

 ただ、NYダウが勢いよく戻っているのに比べると、日経平均の戻りは鈍いと言えます。円高が止まらず、一時1ドル=105円台に入ったことが、日経平均の上値を重くしています。

<NYダウ日足:2017年10月2日~2018年2月16日>

 

<ドル/円為替レート推移:2017年10月2日~2018年2月16日>

 

 

日経平均の上値を抑える懸念材料:円高と米金利上昇

 日経平均日足チャ-トを見ると、2月からの下げの勢いが強いのに比べて、先週の反発には勢いがありません。日足チャートを見る限り、まだ下げの勢いが止まったとは言えません。

 下値メドは、2万1,000円としていますが、2万円まで下がる可能性を、まだ完全には否定できません。

 2つの懸念材料が残っています。1つは、今回の世界的な株安のきっかけとなった、米長期金利の上昇がまだ続いていること。もう1つは、円高が続いていることです。

<米10年・1年金利の推移:2012年1月~2018年2月(16日まで)>

 

 今年、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は、3回利上げすると予想されています。3月にも、追加で利上げする可能性があります。3月利上げで、米10年金利が3%に乗ったとき、米国株が改めて売られないか要注意です。

 もう1つの懸念材料は、円高です。2017年度(2018年3月期)の平均為替レート(2017年4月1日から2018年2月16日まで)は、1ドル=111.42円です。為替が、このまま1ドル=106円前後で推移すると、来期(2019年3月期)業績にはマイナス要因となります。日本の企業業績は、来期も今期に続き増益と考えられますが、その増益率が、円高によって縮小することになります。

 

なぜ円高、止まらない?

 ドル/円を動かす、最も重要なファクターは、日米金利差です。日米金利差が拡大する中で、円高が進んでいるのは、奇妙と言えます。

 今後、日米金利差は、さらに拡大する見込みです。米国の中央銀行であるFRB議長となったパウエル氏は、今後、さらなる利上げを続ける見通しです。一方、日本銀行は、10年金利をゼロに固定する金融緩和を続ける見通しです。4月に任期を迎える黒田日銀総裁の続投が確実となり、日銀の金融緩和政策は、変わらない見通しです。

 米国の金利が上がり、日本の金利が変わらなければ、日米金利差は拡大します。それが予想される中で、円高が進んでいくのは、不思議ですこれについては2つの解釈が可能です。

(1)3月の米利上げが視野に入るころから、円安に転じる。

(2)購買力平価(企業物価ベース)にサヤ寄せする形で、円高が進んでいる。

 ドル/円は、長期的には、購買力平価(企業物価ベース)に沿って、円高が進んできています。

<ドル/円、購買力平価(企業物価)と、実際の為替レートの推移:1973年12月~2018年2月(16日)>

出所:購買力平価(企業物価)は公益財団法人 国際通貨研究所

 購買力平価について、さらに詳しい解説は、以下の1月30日のレポートをご参照ください。

▼著者お勧めのバックナンバー3本:
2018年2月13日:日経平均のトレード戦略 リバウンド狙いで買い増しも
2018年1月30日:ドル/円為替は、どう決まる?日米金利差・購買力平価が与える影響を解説
2018年1月25日:ジリジリ進む不気味な円高。どこまで続く?

 

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