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米連邦準備制度理事会(FRB)は、商業銀行の融資担当責任者を対象に、銀行の『融資基準』や借手の資金需要の動向に関するヒアリング調査を四半期ごとに実施しています。人間に例えれば血液に相当する資金が、経済の中を正常に循環しているかどうかを検査するのが目的です。直近の調査は2017年12月から18年1月にかけて実施されました。それによれば、商業銀行は引き続き緩和的な融資姿勢をとっています。
【ポイント1】『融資基準』は全体的に緩和的
企業向けと住宅ローンは緩和、クレジットカードは強化の方向
直近の調査結果によれば、「『融資基準』を強化」との回答比率から「『融資基準』を緩和」との回答比率を差し引いた融資基準総合DI(※)は▲3.0となりました。つまり『融資基準』を緩めた銀行の数が、基準を厳しくした銀行の数を上回りました。前回2017年10月調査時点の▲6.2に比べ幅こそ縮小しましたが、17年7月調査以来3回連続のマイナスになります。
融資先では、商業用不動産やクレジットカードローン、自動車ローン等の消費者向け融資の基準が厳格になる一方、大中規模の商工業者向け融資や住宅ローンの基準は緩和されました。
※融資基準総合DIと資金需要総合DIは、商工業、商業用不動産、住宅、消費者向け融資の各融資基準DIおよび資金需要DIを、融資量全体に占める各融資量の割合をもとに加重平均した指数で、三井住友アセットマネジメントが算出しました。
【ポイント2】資金需要は依然として低調
内部留保の拡大により企業の銀行依存度は低下しているもよう
一方、「資金需要が拡大」との回答比率から「資金需要は縮小」との回答比率を引いた資金需要総合DI (※)は▲5.8でした。同DIは17年1月調査以来5回連続のマイナスです。
直近18年1月調査では、商業用不動産、住宅ローン、自動車ローンへの需要が後退したのに対して、商工業は大中規模、小規模事業所とも資金需要が強まりました。実際、フィラデルフィア地区連銀の製造業調査をはじめとする各種の調査は、製造業の設備投資意欲が旺盛なことを示しています。
【今後の展開】融資基準DIは緩やかな経済成長を示唆
融資基準総合DIと、民間雇用者数(前月比増減)との間には、DIが低下、つまり融資基準が緩やかになれば、雇用の増勢が強まるという関係が見られます。しかも融資基準DIが、雇用の増加数に1四半期ほど先行しています。
この関係から試算すると、18年前半の米民間雇用者数は前月比+10万人~+20万人程度と、17年とほぼ同様のペースでの増加が見込まれます。商業銀行の融資姿勢から判断する限り、米景気・雇用の堅調な拡大は今後も続くと予想されます。