なぜ今、円高か?

 24日、ニューヨーク市場で、一時1ドル109.11円まで円高が進みました。それを受けて、今日の日経平均株価は、続落して始まる見込みです。 

 そして、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを続ける中、日銀は長期金利をゼロに固定したままです。このように日米金利差が拡大する一方、今なぜ、円高(ドル安)が進むのでしょうか?

 本日は、ドル/円の動きを、分析します。

ドル/円を動かす3大要素、一番重要なのは「日米金利差」

 為替を動かす要因は無数にありますが、今ホットな話題で重要度の高いものに絞れば、3つあります。

●日米金利差

ドル金利が上昇し、日米金利差が拡大すると、円安(ドル高)になります。
ドル金利が低下し、日米金利差が縮小すると、円高(ドル安)になります。

●政治不安

世界に政治不安が広がると、安全資産として円が買われ、円高(ドル安)となります。
政治不安が解消し、政治が安定すると、円が売られ、円安(ドル高)となります。

●政治圧力

米国政府筋から、円安を非難する発言が増えると、円高(ドル安)が進みます。
米国政府が、円安を容認している間は、円安(ドル高)が進みやすくなります。

 中でも一番重要なのが、日米金利差です。FRBは、利上げを続け、金融引き締めを継続しています。一方、日銀は、異次元緩和を長期的に継続する方針です。日米中央銀行の言っていることをそのまま素直に受け止めれば、ドル金利はさらに上がり、日米金利差は拡大、円安(ドル高)が進むことになります。

 

日米金利差(2年金利)で動く、ドル/円為替レート

 それでは、過去10年間、2年金利で見た日米金利差と、ドル/円為替レートがどのように動いてきたかを見てみましょう。

 まず日米金利差ですが、次のようになっています。

日米の2年金利(残存2年の国債利回り)と日米金利差推移:2008年1月~2018年1月24日

 注:楽天証券経済研究所が作成

 次に、ドル/円の動きと日米金利差を比較します。

ドル/円為替レートと、日米2年債利回りの差:2008年1月~2018年1月24日

注:楽天証券経済研究所が作成

 過去10年を見ると、おおむね日米金利差と、ドル/円は連動していることがわかります。ただ厳密に言うと、以下のように、細かい相違があります。

●2008~2011年

日米金利差の縮小に従って、円高(ドル安)が進みました。

●2012~2015年

日米金利差が少ししか拡大していないのに、大幅な円安が進みました。2年金利の差では説明できないほど、円安の進行が大きかったということです。

●2016~2017年

日米金利差が拡大する中で、円高が進みました。行き過ぎた円安に修正が起こったと見ることもできます。ただし、この調整により、日米金利差から見て、ドル/円は、適正値に近づいてきたと見ることもできます。

 2008年、金利差1.5%のころ、1ドル100~105円でした。今、金利差が2.2%で、1ドル109円台です。ドル/円が2年金利差で説明しやすい水準と言えます。