石破首相が「追加の利上げをするような環境に現在はない」と異例の発言

 植田和男日銀総裁と石破首相は10月2日、官邸で会談し、金融、経済、物価情勢について意見交換した。石破首相が「追加の利上げをするような環境に現在はない」と異例の発言をしたことでアルゴリズム取引の円売りに拍車がかかり、ドル/円は147円まで円安が進んでいる。

 市場では「日本が追加利上げを断念した」と受け取られ、円は暴落し、円キャリートレードは勢いを取り戻している。

ドル/円(30分足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ドル/円(4時間足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ドル/円(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

「日銀は7月会合で円安に伴う物価上振れリスクの高まりも理由に利上げを行っており、難しい状況に直面する可能性がある」(「日銀正常化路線に政治の逆風、石破首相発言で年内利上げ観測が後退」 10月3日 ブルームバーグ)

 石破首相が何をしたいのか全く分からないが、中央銀行が常に政治家の言いなりになっていることがよく分かる話だ。金融政策に関しては、「西側」の中央銀行は独立した存在ではない。中央銀行が独立したことはない。

 さて、多くの人は、S&P500種指数やオルカンが資産運用に必要な全てだと考えている。これは実現しない仮定だと思う。最終的にはインフレが金融システムを破壊する。今後数年間、インフレは加速するだろう。なぜなら、FRBは支出を奨励するために金利を引き下げ始めているからだ。米国政府はより多くの支出を始めようとしている。

S&P500CFD(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 リン・オールデンの言うように、「現時点では、今陥っている負債バブルから抜け出す方法を考えることが先決になる。この負債バブルは、このまま行けば、より一層深刻なインフレへと発展してしまうからだ」。

 筆者は現在、来年以降のインフレに向けてのポートフォリオの組み換えに着手している。投資家は潜在的なリスクに留意し、分散されたポートフォリオを維持すべきであろう。

CPI(消費者物価指数) 1970年代 vs 2020年代

出所:REALEJANTONI

 経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは書いた。

「介入主義の社会哲学の本質的なポイントは、永遠に絞られる無尽蔵の資金の存在です。この噴水が枯渇すると、介入主義のシステム全体が崩壊します。サンタクロースの原則はそれ自体を清算します」