安定成長の配当期待銘柄、本土の再エネ事業やグリーンエネルギー事業が成長けん引へ

現地コード 銘柄名
00003

香港中華煤気

(ホンコン・チャイナガス)

株価 情報種類

6.36HKD
(9/23現在)

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 香港系の都市ガス事業者、香港チャイナガスについて、BOCIは向こう2-3年にわたり、前年比3-6%の利益成長を確保するとみている。本土での再生可能エネルギー事業とガス販売事業が成長エンジンになるとの見方。2023年に黒字化したばかりの再エネ事業の営業利益については、2024-26年に年率平均136%増加する見通しを示した。一方、香港での独占的な都市ガス事業は大規模かつ堅実で安定的な収益基盤。ほかに、船舶燃料や航空燃料のグリーン化を追い風とするグリーンエネルギー事業が、プラスアルファの成長エンジンとなる可能性があるとした。こうした要因が結果的に、配当の維持につながると指摘。金利が低下する中、配当利回りが5.5%に上る同社は魅力的な配当期待銘柄であるとし、株価の先行きに対して強気見通しを維持している。

 大半の同業銘柄とは異なり、同社の再エネ事業は複数の収入源を持つことが強み。分散型の太陽光発電プロジェクトを通じた電力販売にとどまらず、一部権益を売却したプロジェクトの運営・保守サービスや、電力貯蔵、電力取引なども収入源に含まれる。BOCIは仮に、一部開発プロジェクトの過半数権益の売却益を除外したとしても、再エネ事業の営業利益は2024-26年に、年率平均136%の大幅増を達成するとみる。

 中国本土でのガス販売事業に関しては、2024-26年に前年比6%、4%、3%の営業増益を見込む。販売量の伸びと単位当たり利益の改善が背景。

 一方、香港のガス事業はコロナ禍にあった2019-23年に、ガス販売量が年率平均1.7%縮小したが、2024-27年にはプラス成長を回復する見通し。住宅建設の増加に加え、グリーンエネルギーとしての水素利用の拡大など、川下の用途の広がりがその理由。また、香港のガス料金は当局の規制下にはないとして、2030年まで2年ごとの値上げを想定している。

 ほかに、グリーンエネルギー事業ではグリーンメタノール、HVO(水素化処理植物油)、SAF(持続可能な航空燃料)など、各種バイオ燃料の生産を手掛ける。2025年以降は世界の海運・航空業界のグリーン燃料へのシフトに伴い、グリーンメタノールやSAFなどの需要が大きく増える見通しという。

 同社の2023年通期の利益構成を見ると、経常性利益を生む事業の貢献が全体の86%に上る。高配当利回りを支えているのは、この経常性の高い利益基盤と非中核資産の売却益の発生。これにより、1株当たり0.35HKドルの配当の維持が可能となっている。

 BOCIは今回、DCF(ディスカントキャッシュフロー)方式に基づく同社の目標株価を据え置いた。2024年予想PER(株価収益率)では22倍に当たる水準となる。一方、レーティング面のリスク要因として、BOCIはグリーンエネルギー事業の収益性が予想を下回る可能性、非中核資産の売却が遅れる可能性を挙げている。