世界肺癌学会で発表の「AK112」治験データ、予想以上に良好で長期貢献に期待

現地コード 銘柄名
09926

康方生物科技

(アケソー)

株価 情報種類

48.20HKD
(9/9現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 広東省本社のバイオ医薬品開発会社、康方生物科技は9月8日に開かれた2024年WCLC(世界肺癌学会)で、PD-L1発現型NSCLC(非小細胞肺癌)向けの1次療法用として実施した「AK112」の治験結果を発表した。治験は既存薬「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ:ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体)と直接比較するタイプの実薬対照試験だが、AK112のデータは非常に良好。抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬の大きな懸念となる安全性プロファイルにおいても、AK112は管理可能な数字を提示した。BOCIは同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 同社が発表したのはHARMONi-2試験の中間解析結果。製品候補の「AK112」(イボネスシマブ:抗PD-1/VEGF二重特異性抗体)を「キイトルーダ」と直接対決させるタイプの治験だが、AK112の薬効に関するデータは良好で、無増悪生存期間(PFS)の中央値はイボネスシマブ群が11.14カ月、ペムブロリズマブ群が5.82カ月。ハザード比0.51という市場予想を大きく上回る結果を示した。治療効果のあった患者の割合を示す奏功率(ORR)もイボネスシマブで50%とペムブロリズマブの38.5%を上回った。サブグループ解析では、PD-1値の高低や進行性NSCLCのタイプ(扁平上皮か非扁平上皮か)を問わず、イボネスシマブ群のほうが持続的かつ明確な改善傾向を示したという。

 さらに特筆すべきは、AK112のイボネスシマブ群が管理可能な安全性プロファイルを示したこと。グレード(有害事象の重症度)≧3に属するTRAE(有害事象)はイボネスシマブ群で29.4%、ペムブロリズマブ群で15.6%。投与中止、死亡に至ったTRAEは、ペムブロリズマブで6例(3.0%)、2例(1.0%)。イボネスシマブ群では3例(1.5%)、1例(0.5%)だった。抗VEGF薬の安全性は、特に扁平上皮癌患者に対する使用において重大な懸念事項となるが、HARMONi-2試験に示された有害事象は許容範囲であり、扁平上皮型患者における出血の有意な増加は認められなかった。

 PD-L1発現型NSCLCの1次療法を対象としたイボネスシマブ単剤の医薬品承認事項変更申請(sNDA)は現在、中国の薬品審査センター(CDE)が審査中であり、25年上期にも承認される見込み。今後は提携先の米サミット・セラピューティクスによる海外でのHARMONi-7試験や、扁平上皮型などを適応症とした康方生物科技の組み合わせ治療の第3相試験などが続く見通しとなっている。

 BOCIはAK112のPFSの有意な延長に注目し、今回の優れた治験データはAK112に対する市場の信頼感を高めるだけでなく、副作用の重さから投与を続けられなくなる化学療法不耐性の患者に別の選択肢を提供することを意味すると指摘。扁平上皮NSCLCの1次治療薬としてのAK112の予想成功確率を引き上げた上で、長期の収益貢献を見込み、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。