2024年下期に業績改善見通し、クラウド需要と海外市場開拓が成長要因に
現地コード | 銘柄名 |
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00552 |
中国通信服務 (チャイナ・コムサービス) |
株価 | 情報種類 |
3.89HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国電信集団傘下の通信支援サービス会社、中国通信服務について、BOCIは2024年下期の事業構成と利益率の改善を予想している。主要顧客である通信キャリア各社が設備投資を削減する中、クラウドインフラに対する通信キャリア以外の企業や海外からの旺盛な需要がけん引するとの見方。業界最大手である同社の場合、AI需要の高まりやクラウド化というトレンドが、売り上げ構成比と利益率の改善につながる見通しを示した。魅力的な配当利回りが株価を下支えするとみて、目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
企業が自由に使える資金を指すフリーキャッシュフローは2024年上期にマイナス21億6,500万元(2023年上期はマイナス11億2,200万元、2023年下期は54億5,500万元)だったが、これは顧客からの支払いが年末に集中する上に、同社が川上の中小企業支援に向け、ベンダーへの代金支払いサイクルを短縮したため。経営陣は売掛金の9割以上が支払期限1年以内であるとし、貸倒れリスクは十分管理されていると強調している。
2024年下期決算について、BOCIは前年同期比8.2%の増収を見込み、増益率も加速するとみている(上期は同1.7%増収、4.4%増益)。2024年12月通期の予想純利益は前年比5.5%増の38億元。下期は前年同期比6.8%増との予想となる。
上期には通信キャリア以外の中国企業向けビジネスの売上高が前年同期比2.5%増の324億元と、通信キャリア向け(前年比横ばい)を上回るペースだったが、さらに高成長を遂げたのが海外向け。主に中東とアジア太平洋地域の貢献で、上期に26%増の20億元に達した。経営陣は中東と東南アジアを戦略的重点地域に据え、海外事業がこの先、主要な成長けん引役になるとしている。
過去3年間の実績や粗利益率の改善を見る限り、配当性向はこの先、着実に上向く見込み。2023年の配当性向は42%だったが、BOCIは2024年以降、44%、46%、48%と、毎年2ポイントずつ上向きに推移するとみている。
同社は通信インフラ・プロジェクトのエンジニアリングおよび建設下請け分野の国内最大手。BOCIはAI技術の応用の広がりを受けた通信キャリアとその他企業によるAIインフラ需要の拡大が、同社にとっては追い風になるとみる。現在株価は2024年予想PER(株価収益率)で6.5倍の水準にあり、同年の予想配当利回りは6.8%。下値余地が限定的とみられる上に、現在株価は魅力的な水準にあるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
レーティング面の潜在リスク要因としては、マクロ経済の鈍化を背景に企業・政府機関のIT支出が減速し、主要顧客である通信キャリアの設備投資がさらに減少する可能性を挙げている。