2024年中間期は競争激化で実質19%減益、地政学的緊張が収益成長の足かせに

現地コード 銘柄名
03347

杭州泰格医薬科技

(ハンジョウ・タイガーメッド・コンサルティング)

株価 情報種類

29.80HKD
(8/30現在)

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 中国の大手CRO(医薬品開発業務受託機関)、杭州泰格医薬科技の2024年6月中間決算は、売上高が前年同期比10%減少し、調整後純利益も同19%の落ち込みとなった。市場競争の激化に伴う新規受注単価の下落で、臨床試験ソリューション部門の売上高が22%減少したことが響いた。BOCIはこの先さらに、地政学的な緊張感が同社を含む中国のCRO大手各社の痛手となる可能性に言及し、同社収益への大きな打撃を予想。目標株価算出上の前提を変更し、目標株価を大幅に下方修正した。ただ、中国国内市場における同社の強力なポジションを高く評価し、株価の先行きに対しては強気の見通しを継続している。

 上期の売上高は前年同期比10%減の約34億元。新型コロナ関連の手数料収入を除外した場合の売上高も、やはり同様に減少した。事業の2本柱の一つ、臨床試験ソリューションの売上高は22%減の約16億元。業況が下向く中で競争が激化し、単価が下落した。一方、もう一つの中核事業である臨床関連・ラボラトリー(試験・検査・検証)サービス部門の売上高は6%増の約17億元。治験施設管理業務の成長や、データ管理および統計解析サービスの安定的な拡大が寄与した。地域別に見ると、国内売り上げ比率は前年並みの56%。全体の粗利益率は0.2ポイント低下して39.7%。調整後純利益は19%減の6億4,000万元だった。

 新規受注は上期も拡大傾向を維持した。海外製薬会社による国内での治験需要と、中国のバイオベンチャー企業による海外での治験需要がけん引した形。ただ、国内顧客からの受注は数量的に増加したものの、単価が下落したために、金額ベースでは1桁台前半の相対的に緩やかな伸びにとどまった。同社全体では、新規受注件数の伸び率は1-3月期の前年同期比10%台半ばから、4-6月期には10%台後半に加速。上期の伸び率は10%台半ばから後半となり、このペースは7月、8月も続いたという。

 地政学的緊張感の継続は、同社を含む中国の大手CRO各社にとってマイナスとなる可能性が高い。同社の場合、売り上げ全体に占める海外市場の割合は44%。BOCIは米バイオセキュア法(主に中国のCROやその他医薬品開発受託企業との取引を規制)の影響で、同社売上高が2026年までに30%縮小する見通しを示し、2024-25年の利益見通しを43-70%の幅で減額修正した。

 BOCIは国内CRO業界における厳しい価格競争と地政学的リスクの高まりを考慮し、WACC(加重平均資本コスト)の想定値を12.7%から13.9%に引き上げる半面、永久成長率を3.5%から2.5%に下方修正。これに伴いDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を大幅に引き下げた。レーティング面の潜在リスク要因としては、競争激化のほか、研究開発投資が縮小する可能性や地政学リスクを挙げている。