プラチナは長期視点で人気銘柄になるだろう

 ここからはプラチナの供給面を確認します。供給面は「鉱山生産」と「リサイクルからの供給」の二つに分かれます。2023年は、供給全体の8割弱が鉱山生産、残りの2割強がリサイクルからの供給でした(WPICのデータより)。

 プラチナの主要な鉱山生産国は、南アフリカ、ロシア、ジンバブエ(南アフリカに隣接)などです。これら三カ国で鉱山生産のおよそ9割を占めます(同)。

図:プラチナの主要鉱山生産国の自由民主主義指数

出所:V-Dem研究所およびWorld Platinum Investment Councilのデータより筆者作成

 世界各国の民主主義の状況を数値化する活動をしているV-Dem研究所(スウェーデン)が公表する「自由民主主義指数」を確認すると、これら三カ国の数値が低下傾向にあることが分かります。同数値の低下は、これらの国々が自国中心主義を強めつつあることを示唆しています。

 こうした流れは、2010年ごろから目立ち始めた西側と非西側の分断深化の流れの一端であると、考えられます。分断深化が進むことで、非西側から西側への資源供給に支障(非西側による資源の武器利用)が起きやすくなります。

 例えば、原油の減産は、非西側産油国が行う西側への人為的な供給削減という意味がありますし、近年しばしば見られる非西側の農産物大国であるロシアやインドなどの「安全保障のための農産物の輸出規制」は、政治的意図を含んだ出し渋り(資源の武器利用)という側面があります。

 主要鉱山生産国のほとんどで同指数が低下しはじめ、非西側化が進行しているプラチナにおいても、将来的に出し渋りが発生する可能性を否定することはできません。プラチナにおいても、長期視点で供給減少→価格反発、というシナリオが描ける環境にあるといえます。

図:S&P500種指数、金(ゴールド)、プラチナの価格推移(月足)(2009年2月を100として指数化)

出所:LBMAおよびInvesting.comのデータをもとに筆者作成

 プラチナは、長期低迷を強いた要因が取り除かれつつあります。同時に、長期視点の供給減少懸念が強まりつつあります。これらの変化が、長期視点の価格反発の原動力になる可能性があります。数年や数十年という息の長い、そして緩やかな上昇が想定されます。

 歴史的高値圏で推移する人気銘柄を保有しつつも、プラチナという長期低迷銘柄(今後の価格反発に期待)を保有することで、投資活動における心労(心の疲労)を大きく軽減できると、筆者は考えています。

 そしてそのプラチナが、「プラチナだから積立投資をがんばれる理由」で述べたとおり、大きな利益をもたらす存在になる可能性もあります。投資で恐怖を感じたら注目すべき銘柄は「プラチナ」で、取引手法は積立です。長期視点でゆっくり、プラチナにご注目いただくとよいと思います。

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