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著者の西崎 努が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「5年ぶりの米国利下げか?金利低下時に気をつけたい三つの注意点!」
資産形成の正解は人それぞれですが、一方で、多くの人が失敗してしまう考え方や、やり方があるようです。このシリーズでは、資産形成を始める人が陥りがちな失敗事例を取り上げ、やってはいけない行動を分かりやすく解説します。
お悩み
米国が利下げをすると聞いたけど、何に備えたらいいのか?
古橋将吾さん(仮名)会社員・34歳(既婚、共働き、子ども一人)
古橋さんは5年前の結婚を機に、計画的に将来の支出に備えるために、家計の見直しを行い、おおよそのライフプランを作成し、積立投資をしながら資産形成にいそしんでいました。
共働きで収入はダブルインカムだけど、大きな支出をしないようにしており、勤務先が在宅勤務を推奨しているので、郊外に住むことで生活費も抑えることができています。むしろ、都心に住んでいた時よりも快適な生活ができていて満足しています。
余裕があるうちに、と夫婦で旧NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)ではつみたてNISAを、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の両方を使って積立投資をしてきました。5年もすると運用がうまくいっていることもあって、自分の中では一財産と言っていいほど貯蓄ができていることに満足していました。
しかし、そんな時に米国が景気後退の兆しがあり、政策金利の利下げを行いそうだという話を聞きました。普段は投資金額をあまり見ていませんでしたが、株価が急落して、為替も急速に円高に動いているというニュースを聞いて投資金額を見てみると、ピークから2割ほど評価益が減っていました。
これまでも評価益が目減りする時はありましたが、これまでとは様子が違うと感じた古橋さんは、不安になって米国の利下げに対して何か対応しないといけないと考えるようになりました。
古橋さんは米国の利下げに対して、どのような対策を考えておくべきでしょうか?
米国の利下げ、そして金利低下によって何が起きるのかを予想しよう
米国政策金利の利下げは、前回までさかのぼると2019年7月以来になり、それ以前となると2008年のリーマンショック時の対策として緊急利下げが行われました。2024年に米国で利下げが行われるとなると、およそ5年ぶりの利下げということになります。
2022年に利上げを開始してから、株式相場は調整しつつもその後も大きく上昇し、為替相場では日本円は米ドルに対して猛烈に円安へと動きました。
私の経験上では、ネット証券で自分で投資をする人も、金融機関で担当者をつけて投資をしている人も、その頃には米国株式や米国株式へ投資する投資信託、長期分散投資をする投資信託やファンドラップへ投資する人が増えていったように思います。
つまり、円安株高によって資産を大きく増やした人がいるのですが、中には本来の想定以上のスピードで評価益が増えていった人も多くいるようです。
米国政策金利の利上げが一服し、今度は利下げとなると相場も大きな転機となることは間違いありません。相場が大きく上下に乱高下したり、これまでとは違う情報に反応して動いたりすることもあるでしょう。相場はすでに利下げを織り込んで動いています。
そうした相場では投資家心理が大きく揺さぶられることが多くなるでしょう。そうならないためにも、金利低下によって何が起きるかを事前に予想しておくことが重要です。
そのため、今回は米国の金利低下時に気をつけたい投資についてお伝えします。
米国の金利低下時に気をつけたい投資1:株価下落時の安易な株式投資の一括投資
2024年7月には、FRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長の発言からも米国政策金利の利下げが現実的なものとなってきており、7月からは日米ともに株式相場は大きく下落方向に調整し、為替も1ドル=160円台の円安トレンドから一転して140円台まで円高が進んでいます。
利下げをするということは、景気が落ち込んでいることを示唆しており、それを織り込んで日米金利差が縮小することで円高株安になることは予想の範囲といえます。しかし、どの程度まで調整するのか、いつ調整するのかなどは結果論です。
今後も利下げの時期や回数、利下げ幅は経済指標の発表などによって変動していくことが予想されます。その都度、相場も上下に変動することが予想されます。すでに7月、8月で大きく円高株安に動いたことで多くの人が不安に感じていることでしょう。
この時に気をつけておきたいことは、株価が下落したからといって安易に株式投資で一括投資をしないということです。特にここ数年はある程度株価が下がったとしても、むしろ買い場であるケースがほとんどでした。しかし、利下げをするということは景気後退や企業業績の悪化も予想され、思った以上に下落方向への調整が長引く可能性も考えられます。
ここでお伝えしたいことは、下落しても買ってはいけないということではありません。チャンスだと思って飛び乗るように一括買いをするのではなく、相場が変化する局面だからこそ、ある程度分散しつつ買うことを推奨するという意味です。本来ならどの相場局面であってもそうするべきですが、特に利下げが行われる局面では慎重になるべきです。