「価格低迷が歓迎される世界」がある

 ここまで、プラチナ相場は長期視点の低迷状態にあること、今後長期視点で需要増加・供給減少によって価格反発が起きる可能性があることを、述べました。個人投資家の皆さまにとって、「価格低迷」は、投資対象になり得るのでしょうか。

図:積み立てシミュレーション(3パターンの価格推移) 単位:円/グラム

出所:国内大手地金商のデータを基に筆者作成

 仮に、上記の価格推移を演じる商品があるとします。暴騰パターンと暴落パターン、低迷パターン、50年後にどのパターンの収益が大きくなるでしょうか。条件は、「積み立て」で取引すること(毎月1万円)、手数料は買付時に1.65%(税込)、分配金・配当なし、再投資せず、です。

 プラチナの相場環境に近いのは「低迷パターン」です。このパターンは、40年間、長期低迷を強いられた後、最後の10年間でようやく上昇することが許され、多少の価格反発をもって取引を終えます。どのパターンの収益が大きくなるのでしょうか。条件は、「積み立て」で取引をすることです。

 正解は以下の通り、プラチナを模した「低迷パターン」でした。最終的な累積の資産の額は、他の二つのパターンを圧倒しました。

図:積み立てシミュレーション(3パターンの累積資産額) 単位:百万円

出所:筆者作成

 最終的な累積資産額(保有数量×価格)は、暴騰パターンがおよそ750万円、暴落パターンがおよそ780万円、低迷パターンがおよそ2,100万円、でした。1万円を600カ月(50年間)、投資し続けるため、投資金の合計は600万円です。このため投資金に対する最終的な資産の額は、暴騰パターンが1.26倍、暴落パターンが1.31倍、低迷パターンが3.51倍でした。