輸入物価に対する円安の影響は減衰していく可能性が高い

 ちょうどタイミングよく、日本銀行から昨日、4月の輸入物価が発表されましたので、円安の影響がどの程度出ているか、改めて確認しておきましょう。図表3を見てください。

図表3 日本の輸入物価指数

(出所)日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 これは輸入物価の契約通貨ベースと円ベースの前年比を見たものです。契約通貨ベースとは、輸入している企業が契約上使っている通貨で指数を作成したもの、円ベースは契約通貨ベースの輸入価格を日本銀行が円に換算して指数化したものです。従って、円安の影響はその差に表れることになります。

 4月は契約通貨ベースが前年比マイナス4.3%、円ベースで6.4%でしたので、その差10.7%ポイントが円安による影響ということになります。確かに、この差が最近拡大しつつあるように見え、このまま円安の影響が大きくなれば、円ベースの輸入物価がもっとプラス幅を拡大させていくように思えますが、果たしてそうでしょうか。

 図表4を見てください。これは、円ベースの前年比から契約通貨ベースの前年比を差し引いた「為替の影響」と、ドル/円相場の前年比を比べたものです。当たり前といえば当たり前ですが、両者はきれいにリンクしています。

図表4 輸入物価への為替の影響とドル/円相場

(出所)日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 注目してほしいのは点線です。赤い点線はこの先1ドル155円で横ばいとした場合の前年比、緑の点線はこの先1ドル160円で横ばいとしたときの前年比です。いずれのケースにおいてもプラス幅は縮小していく計算となり、この程度の円安であれば、輸入物価への影響は縮小していくと予想されます。