長期分散積立投資では「一喜一憂せず」が大切

 インデックスファンドを活用した国際分散投資で積立投資(定時定額投資)を実践する場合に大切なのは、株価が乱高下しても一喜一憂しないことです。インデックスファンドが連動を目指す株価指数は常に上昇するわけではなく、大きく下落する場面もあります。重要なのは「ドルコスト平均法」を意識することだと思います。

 株価が大きく下がる時でも、毎月一定額を同じインデックスファンドに投資し続ければ、基準価額が下がった時は多くの口数が買えます。積立投資を長く続ければ、「複利効果」(雪だるま効果)で資産が増える可能性が高くなります。前週に11月を終えた時点で、長期視点に立った「米国株への積立投資の効果」を長期市場実績で検証したいと思います。

 図表3は、約30年前の1993年1月に3万円をS&P500総収益指数(円換算)に投資し、その後も毎月末に3万円ずつ継続的に投資してきた場合をシミュレーションしたものです。1993年1月から371回の定時定額投資を実践すると、累計投資額は簿価ベースで1,113万円(=3万円×371回)となりました。

 この間のドルコスト平均法と複利運用の効果で、投資元本の時価評価額は約8,784万円に膨らんできました(11月末時点)。これは、資産の時価評価額が累計投資額(累計投資元本)の7.89倍に成長してきたことを示します。

 過去30年には、ITバブル崩壊(2000年)、リーマン・ショック(2008年)、コロナショック(2020年)、インフレショック(2022年)などの株価下落を経てきました。

 そうした中でも、長期で振り返ると円換算したS&P500の総収益が預貯金はもちろん確定利回り証券(例:債券)や日本株を大きく上回り、資産を増やすことができたと検証できます。米国株に定時定額投資を続けた場合の資産形成効果として参考にしたいと思います。

<図表3>円換算したS&P500への長期積立投資を検証

*上記は過去の市場実績であり将来の投資成果を保証するものではありません。
出所: Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1993年1月~2023年11月)

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