「非西側」主導のコモディティ価格上昇発生
今、非西側が台頭しています(しつつある、ではない)。こうした状況は、コモディティ相場にどのような影響を与えるのでしょうか。例えば、足元、減産を強化して需給ひっ迫感を醸成し、原油相場を下げさせないような動きを強めているOPECプラス(石油輸出国機構プラス:一部)の同指数は以下のとおりです。
サウジアラビアが0.04、イラクが0.20、オマーンが0.14、クウェートが0.30、UAEが0.09です。これらの国は、非民主的な傾向が特に強い国です。そして、これらの国の、財政収支が均衡する際の原油価格はおおむね67ドルです。
西側が嫌がるインフレを振りまきつつ、自国の財政を安定化させる。これが、OPECプラスが原油の減産に励む、深い動機でしょう。実際、3月に原油相場が急落した際(一時63ドル近辺まで下落)、すぐさま、減産強化を決定しました。
彼らが行っているのは、「出し渋り」にほかなりません。西側が嫌がるのをわかりつつ、そうした行為を行う背景には、「西側」への反発心があるためだと、考えられます。
図:主要産油国の収支が均衡する時の原油価格(IMF予測2021・2022年の平均)単位:ドル/バレル
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また、以下は主要農産物(小麦、トウモロコシ、大豆)の生産シェアと自由民主主義指数です。ブラジル(近年、急激に非西側化)、インド、ウクライナ、中国、ロシアといった非西側諸国の生産シェアは44.9%に上ります。これは、西側の主要生産国のシェア(38.1%)を大きく上回る値です。
昨年、インドは、自国の食料の安全保障を強化するため、小麦の輸出を停止しました。こうした行為もまた、OPECプラスが行う原油の減産と同様、西側が嫌がるのをわかりつつ、「西側」への反発心がきっかけで行われた「出し渋り」であると、考えられます。
非西側の台頭は、彼らが持つ資源が武器として利用される機会を増やし、西側へのインフレ継続のきっかけになっていると、考えられます。非西側の台頭(西側だったものの非西側に転向した国もある)は、コモディティ相場を底上げする要因であると、言えます。
図:主要農産物の生産シェアと自由民主主義指数
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