BRICs、NEXT11は過去の言葉

 ここからは、G7に加え、2000年代前半に米国の金融大手が提唱した「BRICs(ブリックス、ブラジル、ロシア、インド、中国)」「NEXT11(ネクストイレブン、国名は以下の図のとおり)」のスペックを確認します。

 かつて(2000年代前半)、新興国の台頭に、世界が沸きました。株も高い、コモディティ(国際商品)価格も高い。世界は今では考えられないくらい、好景気に沸いていました。「BRICsの次はこの11カ国が台頭する!」という趣旨で、「NEXT11」が提唱されました。

 この10数年間、「BRICs」と「NEXT11」は、どのような状況なのでしょうか。以下の図は、これらの国々の、人口、GDP、自由民主主義指数、核弾頭の数の変化を示しています。

図:G7、BRICs、NEXT11の各種データ

出所:国際連合、V-Dem研究所(スウェーデン)、米国科学者連盟の資料をもとに筆者作成

 人口は「BRICs」「NEXT11」、ともに大きく増加しています。提唱当時の前提が保たれていることを示しています。中国、インドの増加が特に目立っています。インドネシア、フィリピン、バングラディシュ、パキスタン、ナイジェリアなどでも大幅な人口増加が見られます。

 同時に増加している項目もあります。「核弾頭の数」です。中国、インド、パキスタンで増加しました(ロシアは減少)。この10数年間で核弾頭の数が増加している、ということについては、「G7」をリーダーだと疑わない西側諸国の考えに反します。

 また、減少(低下)している項目がありました。「自由民主主義指数」です。特に先ほど述べた人口増加が目立った国で、同指数の低下が目立っています。

 以下は、「BRICs」および「NEXT11」各国の、自由民主主義指数の推移です。ロシアはプーチン氏が大統領になってから、インドはリーマンショックが起き、西側の経済システムや思想を否定的に見る動きが強まってから、ブラジルはリオデジャネイロ・オリンピック後の不景気の中、強権的なリーダーが生まれてから、急低下しています。

図:G7(平均)、BRICs各国、NEXT11(平均)の自由民主主義指数

出所:V-Dem研究所(スウェーデン)のデータをもとに筆者作成

 人口増加と民主化が同時進行することが、経済成長の前提だったはずですが、前提の一つである民主化が進行していない(それどころか、後退している)ことがわかります。こうした国々が、もう一度「今後投資してみたい国」になるためには、同指数が急反発することが必要不可欠でしょう。