景気後退をぎりぎり回避した2016年

 同じように米景気が後退を回避してぎりぎり持ち直したのが、2016年です。2016年前半、世界各国の景気が同時に悪化しました。2004年よりも厳しい世界景気悪化局面となりました。日本の景気も落ち込みました。

 それでも日本も世界も、景気後退に陥ることなく持ち直しました。

日経平均とNYダウの週次推移比較:2013年末~2017年末

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成、2013年末を100として指数化

 2015年末から、中国景気の悪化が顕著となったため、2015年末~2016年初の世界景気悪化を「チャイナショック」と呼ぶこともあります。

 2015年に原油が急落、つれて資源価格が軒並み大きく下落したため、2016年にはブラジル、ロシアなど資源国の景気が急激に冷え込みました。米景気も、米国シェールオイル業界の業績が急激に悪化したことを受けて、2016年1~3月には落ち込みました。日本や欧州、アジアまで含めて、世界全体の景気が冷え込みました。

 2016年6月には、英国の国民投票でブレグジット(EUからの離脱)が可決され、世界的に株が一段安となりました。「ブレグジットが可決されるとリーマンショック級の世界不況になる」と言っていたエコノミストもいたので、ブレグジット可決で不安が強まりました。

 ところが、不安の極にあった2016年6月のブレグジットショック直後から、世界的に株は急反発を始めました。2016年後半には、米国景気は急速に持ち直しました。米景気回復にともない、世界中の景気が持ち直し、景気後退は回避されました。

 2016年11月には米大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ元大統領が当選しました。トランプ大統領は当選と同時に、米景気が急速に改善したので、幸先のよいスタートを切りました。

景気判断は水物、景気動向を慎重に見極める必要

  今も、米景気が後退期に入る懸念が語られていますが、私はメインシナリオとして、米景気は後退期入りを回避して持ち直すと予想しています。そこで、今日は、米景気がしぶとく持ち直した2004年と2016年の振り返りをしました。

 ただし、景気判断は水物です。私の予想が外れて、これから世界景気が、あれよあれよという間に悪化して後退期に入っていく可能性も否定はできません。

 景気判断に過度にベットせず(賭けず)、時間分散しながら、割安な米国株・日本株に投資していくことが、中長期の資産形成に寄与すると思います。

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