インフレをインフレで制すよりも、良案がある

 足元、「インフレ時の投資対象は、コモディティが適している」という話を耳にします。確かに、インフレ時はコモディティ価格が上昇しているため、投資対象としては「なじむ」でしょう。

 一方、先述の通り、「脱炭素禍」起因の長期視点の上昇圧力は、あと数年で賞味期限がきれる可能性があります。このため、今投資をしたコモディティ関連の投資商品が、将来的に、かえって仇(あだ)になる可能性はゼロではありません。

 短期的には、ウクライナ情勢が鎮静化した場合、さまざまなコモディティ(エネルギーや一部の農産物)の価格は大きく下落する可能性があります。また、投資をする上で、原油相場に対して200ドルや300ドルに達することを期待することは、現実的ではないでしょう。(産油国が許しても、消費国が許さない)

 また、現在のエネルギー価格の上昇はまさに、わたしたちの生活を脅かす「悪いインフレの元凶」です(ガソリン高、植物油高、牛丼高、トイレ紙高…枚挙にいとまがない)。今、こうした金融商品を保有することは、「悪いインフレの元凶」を保有することを意味し、今後も悪いインフレが進行することを望むことと同義と言えなくもありません。

図:「悪いインフレ」時の投資対象としてのコモディティ

出所:筆者作成

 とはいえ、短期など期間限定で保有するのであればその限りではありません。また、世界経済が活況を取り戻し、需要拡大を主因としてエネルギー価格が上昇しはじめた場合は、そのエネルギー価格の上昇は悪いインフレの元凶ではないため、コモディティ関連の投資商品を保有することは理にかなっていると言えるでしょう。

 悪いインフレの時に、直接的なインフレ関連の銘柄を保有することは、自己矛盾に似た感覚が沸いてきかねません(割り切れれば問題はありませんが)。インフレでインフレを制すよりも、また別の対策はないのでしょうか。そこで登場するのが、プラチナです。