米国株は、このリズムで動いてきた

 米国株は過去、景気・金利・株価の「お決まりのパターン」にはまって動いてきたと言えます。もちろん、日本株でも同じパターンは観測されます。ただ、日本では近年、長期金利がゼロに固定されているため、金利サイクルがややわかりにくくなっています。

 それでは、2014年以降のNYダウと米長期金利の変動パターンを見てみましょう。

NYダウと米長期(10年)金利推移(月次):2014年1月~2021年11月(12日)

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

【1】2014年~2016年半ば:景気回復初期

 2014-16年にかけて、米国の景気・株・金利は、「景気回復初期」の動きが延々と続いていました。景気が回復しているにもかかわらず金利は低下し続け、株が上昇していました。

【2】2016年半ば~2017年:景気回復中期

 2016年半ばから2017年にかけて、景気拡大「中期」のパターンに入りました。金利が上昇する中で、株価の上昇が続きました。

【3】2018年:景気回復末期

 2018年には、金利上昇を嫌気して、株が上がらなくなりました。年末にかけて、NYダウは急落しました。

【4】2019年~2020年3月:景気後退中期

 コロナ危機という特殊要因で、景気後退期に入ったため、株価の動きがやや過去のパターンと異なりますが、20年2・3月の暴落まで見れば、景気が後退する中、金利も株も下がった局面と、とらえることができます。

【5】2020年3~6月:景気後退末期

 金利が急低下し、中央銀行がかつてない量的緩和大判ぶるまいをする中で、株が大きく上昇しています。過去のパターンから読み解くと、景気後退末期の動きです。

【6】2020年7月~現在:景気拡大初期-中期

 米景気が急速に回復する中、テーパリング(量的金融緩和の縮小)が始められました。長期金利はゆるやかに上昇しつつあります。景気回復中期の動きです。

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