自然エネルギー発電を増やすにはガス火力を増やす必要がある

 自然エネルギーには1つ、重大な問題があります。太陽光・風力などは自然まかせなので、発電量の調整がしにくいことです。電気エネルギーの最大の弱点は、「保存」「運搬」が簡単にできないことです。特に、「保存」ができないことが重大問題です。そのため、自然エネルギーによって、大量の電気を得ても、それを有効に使う術がありません。

 急に出力が拡大すれば、使いきれない電気を無駄に捨てることになります。急に出力が減れば、停電が起こります。電気供給は原則、需要と供給を常時一致させなければならない「同時同量」が求められます。出力が不安定な自然エネルギーを増やすには、需給バランスを見ながら機動的に出力を増やしたり減らしたりできる「調整電力」が必要です。それが可能なのは、ガス火力発電だけです。

 油田で無駄に焼却されるガスを減らし、LNGガス火力発電を世界で拡大することは、石炭火力発電を減らし、自然エネルギー発電を拡大するために必要なことです。LNG活用で高い技術とインフラを有する日本企業を、既存のESG基準が評価しないのは問題だと思っています。