成長株選びでPERがそれほど重要ではない理由とは?

 前回のコラムでは、筆者が成長株を選ぶときにどのようなポイントを重視しているかについて書きました。

 実はその時、ある指標については全く触れていなかったことにお気づきでしょうか。その指標とは「PER(株価収益率)」です。

 筆者が成長株を選ぶとき、PERについてはあまり気にしません。今後の業績の伸びが期待できるなら、PERが100倍を超えていても買っていくこともあります。

 PERは、来期の予想利益をもとに計算されますので、3年後、5年後に業績がもっと大きく伸びると期待されている成長株にPERを当てはめると、まず割高になります。30倍、50倍はザラで、100倍超えになることも珍しくありません。

 例えば、アベノミクス相場で株価が何十倍にもなったエムスリー(2413)も、PERは50倍をほとんど割り込まず、ときには100倍超になりながら株価の上昇が続きました。

 したがって、PERで割安な銘柄を探す、という切り口からは、成長株はみな割高に映ってしまうので、「買う」という判断になかなか至りません。機関投資家よりも銘柄選定の能力が乏しい個人投資家がPERを使って成長株を選ぶことは、かなり困難といってよいでしょう。