マーケットのリスク許容度によりPERの水準が異なる

 思えば2020年4月から11月頃まで、マザーズに上場する銘柄を中心に、中小型成長株の株価が大きく上昇しました。

 PER100倍超えは当たり前、中には200倍、300倍になってもなお、株価が上昇を続けるものもありました。

 しかし今はそうしたことはほとんどなく、PERが100倍を超える銘柄もだいぶ少なくなりました。

 では、例えばPERが300倍だった銘柄が、株価下落により100倍になったとしたら、これは割安になったといえるのでしょうか。

 これに対する明確な回答はなかなか難しいのですが、おそらく「NO」に近いと思います。

 もともと、PERが300倍を超えるというのはいわばバブル状態であり、その企業の価値がかなり過大に評価されていたといえます。そして、PERが100倍という状態も、実はかなり企業価値が過大に評価されている可能性が高いです。

 売り上げも利益も、ここから毎年2倍以上に伸びる可能性が高い、というなら話は別ですが、実際にPERが100倍になっている銘柄の業績を見ると、そこまでは程遠い、というものが多いです。

少なくとも株価下落途中の買いは避けること

 特に、業績が伸びてPERが低下したのではなく、株価下落により低下した場合は注意が必要です。

 本来のPERは40倍程度が妥当なのに、バブルにより300倍になり、そこで株価が天井を付け、100倍にまで下がっているだけかもしれないからです。

 バブル状態が終われば、株価は下落して適正水準に近づきます。株価下落がどこで止まるかは分かりませんが、少なくとも株価が下落している最中は、株価が高値から2分の1とか3分の1になったとしても、安易に手を出さない方が無難だと思います。

 特に、業績の伸びがそれほどでもないのにPERがまだまだ高く、かつ株価の下落が止まらないケースは、十分に注意してください。