1ドル=110円台まで進んだ円安も追い風

 1ドル110円台に乗せる「円安」が進んだことも、日本の企業業績に追い風となります。米景気の回復色が強まっていること、長期金利が1.7%台まで上昇したことが、ドル高(円安)が進む原動力となりました。それが、日本の企業業績にさらにプラスの効果をもたらします。

ドル/円為替レートの動き:2018年1月初~2021年4月2日


 

金融相場から業績相場への移行期と判断

 米金利上昇の世界株に及ぼす影響について、私の意見は、これまでのレポートで述べてきた通りです。まだ金利上昇で株高が終わることを心配するのは時期尚早と考えています。

 景気回復の終盤で、金利上昇が株安のきっかけになることがありますが、まだその段階に入っていないと考えています。今は、景気回復初期、金利上昇初期で、金利上昇と株高が両立する局面と判断しています。

 景気、金利、株価は、密接に連携して動いています。景気が拡大・後退のサイクルを描く中で、金利・株価も一定のリズムでサイクルを描いています。景気、金利、株価には、一般的に、以下のような関係があります。

景気サイクルと、金利・株価サイクル

出所:筆者作成

 私は、現在の世界経済は、上記の景気拡大初期~中期にあると考えています。景気拡大初期(金融相場)から、景気拡大中期(業績相場)への移行期に当たり、まだ、金利上昇と株高が両立する局面と判断しています。

 ただし、年後半に、実際に米景気が過熱し、インフレ懸念が強まり、米長期金利が2%を超えて上昇していくようになると、金利・株価サイクルは次の局面に入ります。その時は、金利上昇によって株が上がらなくなる「好況下の株安」局面に入ります。

 年後半にかけて、実際に米国景気が過熱してしまう時には、株から脱出する必要が生じます。そうなった時には、改めて、本レポートで私の意見を伝えます。

▼著者おすすめのバックナンバー
2021年4月1日:1ドル110円台に。なぜ今、円安?ドル/円を動かす3つの力
2021年3月18日:NYダウ最高値!FRBは2023年までゼロ金利示唆。ハト派スタンス変わらず2021年3月9日:日経平均3万円でも「日本株は割安」と判断する理由