売る可能性のある外国人マネー

オイルダラー

 中東産油国は、国家予算の一部で毎年、金融資産に投資しています。日本株にも投資しています。通常は、安定的な買い主体となっています。

 ただし、原油が急落した時には、日本株などの保有金融資産を売りにくることがあります。原油の下げ幅がさほど大きくなければ株を売ることはありませんが、急激に大きく下げた時は、国家収入(原油輸出代金)が減るのを補うために、金融資産を売ることもあります。

 たとえば、2016年がそうです。原油価格急落を受けて、日本株に中東産油国の国家ファンドから、大口の売りが出ました。

 コロナ・ショックでも、原油は急激に大きく下げました。年初1バレル60ドル前後で推移していたWTI原油先物(期近)は、4月13日には22.41ドルまで下落しました。たった3カ月で3分の1近くになる暴落です。

 OPEC・非OPECの産油国は13日、原油価格の引き上げをはかるため、世界生産の1割に当たる日量970万バレルの協調減産で合意しました。ただし、世界の原油需要は、コロナ・ショックで、現時点で日量2,000万バレル以上減っている可能性があります。

 結果的に、世界で原油在庫は増加を続けています。協調減産しても、すぐには原油価格の立て直しはできないと考えられます。こうした環境下、オイルダラーが日本株を売ってくる可能性は否定できません