「ハト派的」と取られたパウエル会見

 利下げ後に行われたパウエルFRB議長の記者会見にも、市場は注目していました。利下げ停止を示唆する「タカ派」発言が出るのか、あるいは、さらなる利下げに含みを持たせる「ハト派」発言が出るかが注目されていました。

 結論から言うと、パウエル議長の発言は市場にとって「ややハト派」でした。パウエル議長は世界景気の不確実性を強調し、さらなる利下げを行う可能性を排除しませんでした。FOMC声明文にも「景気拡大を維持するために適切に行動する」との文言が含まれており、FRBはハト派姿勢を維持したと取られました。

 市場に好感されたのは、今回、「量的緩和」を再開することも辞さない姿勢を示したことです。パウエル議長は、短期金利に上昇圧力が働いていることに懸念を示し、FRBの保有資産拡大を検討する可能性を示唆しました。

 FRBは、今回の利下げと同時に、民間金融機関がFRBに預ける超過準備預金の付利を0.3%引き下げました。具体的には、2.1%から1.8%に変更しました。利下げ(FF金利の誘導水準引き下げ)は0.25%でしたが、超過準備預金の付利はそれよりも0.05%大きい0.3%の引き下げとしたわけです。これは、短期金利の上昇圧力を抑えることを意図したものです。実際、ニューヨーク連銀は短期金利の上昇を押さえるために18日まで、連日で短期金融市場に大量の資金供給をしていました。一連のアクションに加え、パウエル議長の発言もあり、市場は「FRBはハト派姿勢を維持した」と解釈しました。