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米国関連株を見直し国境税に耐える5銘柄(窪田)
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

米国関連株を見直し国境税に耐える5銘柄(窪田)

2017/4/6
米景気の回復色が強まっているので、米景気敏感株に注目。自動車は米景気好調の恩恵を受けるが、トランプ政権が国境税を導入すると大きなダメージを受けるので要注意。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 米景気の回復色が強まっているので、米景気敏感株に注目。自動車は米景気好調の恩恵を受けるが、トランプ政権が国境税を導入すると大きなダメージを受けるので要注意。
  • 米国生産比率が高い製造業、米国で収益を拡大中の金融業などに米景気好調のメリットが及ぶ見込み。

今日コメントする米国関連5銘柄の株価バリュエーション:4月5日時点

(金額単位:円)
コード 銘柄名 株価 PER:倍 配当利回り 最低投資金額
7267 本田技研工業 3,210 11 2.9% 321,000
5108 ブリヂストン 4,503 13 3.1% 450,300
8306 三菱UFJ FG 676.8 11 2.7% 67,680
4063 信越化学工業 9,614 26 1.2% 961,400
3382 セブン&アイHLDG 4,526 50 2.0% 452,600

(注:最小投資金額は、最小投資単位100株購入に必要な金額。楽天証券経済研究所が作成)

(1)世界的な政治不安の高まりで「政治不安に弱い」日本株が売られる

外国人の売りで日経平均が調整しています。外国人が今、日本株を売ってきているのには、主に2つの理由があると考えています。

北朝鮮問題

東アジアの地政学リスクの高まり(北朝鮮の暴走)が外国人から見て、日本株の保有を減らすきっかけとなっている可能性があります。「中国が北朝鮮問題を解決しないならば、われわれ(米国)がやる」というトランプ大統領の発言を受け、米中緊張が高まるリスクも意識されています。今日(4月6日)から始まる米中首脳会談に、注目が集まっています。

トランプ政権が再び日本批判を開始

トランプ政権がいよいよ保護貿易を強化する構えであることも不安材料です。3月31日に、トランプ大統領は、貿易赤字削減を進めるために新たな大統領令に署名しました。貿易赤字の相手国である中国や日本などの「不公正な貿易慣行」を調査し90日以内に報告書をまとめることを米商務省などに指示する内容です。

2月10日の日米首脳会談以降、しばらく日本への批判は出なくなっていましたが、再び、日本をターゲットとした批判が出始めています。日本の農業・自動車産業が、トランプ政権の攻撃対象となる可能性があります。

(2)米国関連株を見直し

日本企業にとって、米国は重要な収益源です。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2015年度の日本企業の海外売上高比率は58.3%と過去最高の水準に達しており、中でも、米州向けが25.9%と最大です。

今、米景気が好調である恩恵は、日本企業に幅広く及びます。これから始まる2017年3月期決算では、米国向けの売上高比率が高い「米国関連株」の好調が見込まれます。

米国関連株に、投資対象として有望な銘柄もあると考えられます。

(3)米国関連株の代表である「自動車株」は、トランプ不安で値下がり

自動車産業は、米景気好調・円安の恩恵が大きく、これから業績の回復色が強まると考えられます。本来ならば、自動車株は、業績回復を映して、上昇しているはずでした。ところが、実際は逆で、1月以降、日本の自動車株は、軒並み値下がりしています。トランプ政権への不安が重くのしかかっています。具体的には、以下の2点が不安視されます。

自動車をターゲットとして対抗策が出される懸念

トランプ政権は、「不公正な貿易」を行っている国・産業からの輸入品に「国境調整税」を課すことを検討しています。日本の自動車産業は、調査対象に入っている模様です。もし、日本の自動車産業が不公正な競争をしていると認定されると、日本の自動車メーカーがメキシコまたは日本から米国へ輸出している自動車および自動車部品に国境税がかけられる可能性もあります。

日本は現在、乗用車の輸入に関税をかけていませんが、米国は2.5%の関税をかけています。米国は、ライト・トラック【注】の輸入には、25%もの高い関税をかけています。関税の話をするならば、トランプ大統領の日本批判はまったく根拠がありません。

【注】ライト・トラックには、ピックアップ・トラックだけでなく、米国で人気の大型SUV(スポーツ用多目的車)も含まれる。現在の米自動車市場では、ライト・トラックの販売が好調である一方、乗用車の販売は停滞している。

トランプ大統領は、日本の自動車輸入に「非関税障壁がある」と、主張しています。日本の環境規制や安全基準が厳しいこと、軽自動車に優遇税制があることなどが、輸入車に不利に働いていると批判される可能性があります。

ただし、日本では、ドイツからの輸入車が人気で順調にシェアを伸ばしています。アメリカ車の販売が不振なのは、米国メーカーの努力不足と言わざるを得ないと思います。

トランプ大統領が円安批判を復活し、円高誘導をはかろうとする懸念

今のところ、円安批判は封印していますが、いずれ復活する懸念があります。

(4)国境税導入でも、相対的にダメージが小さいと考えられる5銘柄

本田技研工業

本田の第3四半期までの連結セグメント業績(2016年4-12月期)で見ると、売上収益(外部顧客向け)の55.6%が北米向けです。典型的な米国関連株と言えます。

本田の2016年(1-12月)の米国自動車販売は、1,637,942台でした。それに対し、同社の米国での自動車生産は、1,290,052台でした。2016年の米国生産台数を販売台数で割ると、79%となります。したがって、本田の米国販売に占める米国生産比率は、約8割と推定されます。残り2割は、メキシコおよび日本からの輸出と推定されます。日本の主要自動車メーカーの中では、本田の米国生産比率が、一番高いと言えます。

本田は、米国への輸出に国境税が課せられると、大きなダメージを受けます。ただし、米国生産比率が高いので、米国生産を増やすことで、ある程度ダメージを緩和できると考えられます。

なお、トランプ大統領は、大規模な法人減税を検討しています。大統領は、現在約35%の法人税率を、将来15-20%に引き下げることを目指しています。それが実現すると、本田の米国部門は、大きな恩恵を受けます。

【参考】1981-1984年の経験

1980年に日米自動車摩擦が激化しました。1970年台の2度のオイル・ショックを経て、小型で燃費のいい日本車の米国向け輸出が急増したためです。この時、米国では日本車の輸入に台数規制を課すことを検討していました。日本は、米国で規制が導入される前に、1981年に自主規制という形で、輸出台数の削減を実施しました。この規制は、1984年まで続けられました。この間、米国では人気の日本車が品不足となったために、米国内でプレミアム価格がつけられて販売されました。日本の自動車メーカーは、輸出台数が規制されたことではマイナス影響を受けましたが、輸出価格の上昇で大きなメリットを受けました。

ブリヂストン

ブリヂストンの2016年12月期の所在地別セグメント業績を見ると、売上高の49%、営業利益の45%が米州向けです。典型的な米国関連株です。

ブリヂストンは、タイヤ世界首位で、日本車だけでなく、アメリカ車にも使われています。世界中の幅広いメーカーで使用されるタイヤであるため、自動車のように貿易摩擦のターゲットとはなりにくいと考えられます。

ブリヂストンのタイヤは、高品質・高価格品が多く、米国内で価格破壊を先導しているわけではありません。米国でたびたび問題になるのは、低価格の中国製タイヤの輸入が増えることです。今後、政治的にターゲットになるとしたら中国製タイヤの輸入だと思います。米国生産比率の高いブリヂストン・タイヤはターゲットとなるリスクが低いと考えられます。

万一、米国が輸入タイヤに国境税をかける場合、中国タイヤが一番大きなダメージを受けます。ブリヂストンも、輸入タイヤではダメージを受けますが、安い中国タイヤの輸入が減ると、米国内でタイヤ価格が上昇しやすくなるので、米国内で生産するブリヂストン・タイヤには恩恵が及びます。

三菱UFJ FG

トランプ大統領は、当初、金融業界に厳しいと見られていましたが、実際は逆でした。閣僚に米証券大手ゴールドマンザックスの出身者を起用するなど、金融業界と接近をはかっています。

米金融業界の活動を制約するドッド・フランク法(金融規制改革法)の緩和方針を唱えており、実現すれば、米金融業界に追い風となります。

三菱UFJ FGは、邦銀の中では海外進出がもっとも進んでいます。米銀(MUFGユニオンバンク:総預金量で全米21位の商業銀行)を傘下に持ち、米モルガンスタンレーに出資するなど、国際事業本部の粗利の約半分を米州で稼いでいます。

信越化学

子会社の米国シンテック社は、塩ビ生産で世界トップです。コストの低い米国の天然ガスを原料に使っており、コスト競争力があります。トランプ大統領が、シェールガス・オイルの開発を促進する政策を進めると、原料安を通じて、メリットを受けます。また、米国経済が好調で、インフラ投資が促進されると、塩ビの需要拡大にもつながります。

信越化学は、世界的な半導体ブームで品不足となり、価格上昇が見込まれる、半導体シリコンで世界最大手であることも注目されます。

セブン&アイHLDG

セブン&アイは、本日(4月6日)、2017年2月期決算を発表します。内外コンビニ(セブンイレブン)の成長と、スーパー(イトーヨーカ堂)・百貨店(そごう西武)のリストラを進めている効果で、連結営業利益は、2018年2月期に7期連続で最高益となる見込みです。

2016年2月期の所在地別セグメント情報によると、営業収益の30.7%、営業利益の18.5%を北米で得ています。国内の利益構成が大きく、内需株としての側面が大きいですが、北米でしっかり稼ぐビジネスモデルを確立しているという意味で、次第に米国関連株としても注目できるようになってきています。

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