世界の民主主義は2010年ごろにピークアウト
以下は、食品小売価格に大きな影響を与え得るコモディティ(国際商品)価格の動向です。原油は高止まりしており、液化天然ガス(LNG)、コーヒー、カカオ、小麦、砂糖は底値水準を切り上げています。
いずれも、2010年ごろ以降続いている長期視点の事象です。短期的な価格の上下はもちろんありますが、長期視点で言えば、2010年ごろに市場の構造に変化をもたらす大きな事象が目立ち始めたと考えられます。
図:各種コモディティ価格(過去約40年間)
2010年ごろ以降に目立ち始めた市場の構造を変える大きな事象は、以下の指数に注目することで確認できます。V-Dem研究所(スウェーデン)が公表している、世界各国の民主主義に関わる情報を数値化した自由民主主義指数です。
民主主義の根幹に関わる、公正な選挙、表現の自由、法の支配が守られているかなどを数値化したこの指数は、0と1の間で決定し、0に接近すればするほど自由で民主的な度合いが低いことを、1に接近すればするほど自由で民主的な度合いが高いことを意味します。
以下のグラフは、過去120年間(1903~2023年まで)の世界平均の推移です。
図:自由民主主義指数(世界平均)(1903~2023年)
第一次世界大戦後、第二次世界大戦後、冷戦終結後に上昇したことが分かります。民主主義を掲げ、建設的な話し合いを経て世界が平和に向かう機運が高まった時代です。逆に、第二次世界大戦や東西冷戦のさなかは低下しました。こうした動きより、同指数はこの100年超、おおむね世界の民主主義の動向を反映してきたと言えます。
同指数の低下は、民主主義の行き詰まりや、西側の相対的な影響力低下が始まっていることを示唆しています。それはつまり、非西側の相対的な影響力増加、世界分断・分裂の深化が始まっていることを示唆していると言えます。