米国市場は株式と債券で「見ている景色が違う」可能性
続いて、米国市場についても見て行きます(下の図2)。
<図2>米主要株価指数の動き(2023年末を100)(2024年11月6日時点)
繰り返しになりますが、6日(水)の米主要株価指数はそろって史上最高値を更新しています。上の図2でも、足元で急上昇していることが読み取れます。
株式市場では、トランプ氏の勝利を織り込む「トランプトレード」が選挙前の先月半ばあたりから始まっていたこともあり、達成感などで売りが出てくることも想定されていたのですが、実際のマーケットはさらに上値を伸ばす格好となりました。
また、「新値は買い」という相場格言通り、引き続き株価上昇を続けて行けるかが焦点になりますが、こちらのレポートでも指摘したように、足元の米国株は割高感があるため、ここから先は、割高感を意識しながら上値をトライすることになります。
そして、株価が高値を更新する一方で、下段のMACDが下向きとなる「逆行現象」が発生しており、トレンドの下方転換を示唆するサインが出ていることも押さえておく必要があります。
その一方、株式とは異なる動きとなっているのが米国の金利です。
<図3>米10年債利回り(日足)の動き(2024年11月6日時点)
上の図3は米10年債利回りの日足チャートですが、足元の利回りが4.4%台に乗せるなど、金利の上昇傾向が続いています。
株式市場はトランプ氏の政策のポジティブな面を反映していましたが、債券市場の方は、関税強化や移民政策、財政出動による財政赤字懸念、インフレ再燃警戒など、ネガティブな面が反映されたと考えられ、株式と債券市場とで見ている景色が違っている印象です。
一般的に、株価の上昇と金利の上昇が併存する状況は継続しにくい(通常は逆相関の場面が多い)ため、相場のムードはポジティブとネガティブのあいだで揺れ動きながら、市場間のギャップを修正して行くことになりそうです。