今日の為替ウォーキング

今日の一言

あなたの心が正しいと思うことをしなさい。どっちにしたって批判されるのだから。- ルーズベルト大統領夫人

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 岸田総理大臣は14日に記者会見を開き、派閥の裏金事件への「けじめ」として、9月に行われる自民党総裁選挙に立候補しない意向を表明した。これによって、新総裁が選出されたあと、総理大臣を退任することになる。

 ところで、忘れてしまった人も多いだろうが、岸田首相は約2年前の2022年10月28日に「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を発表した。財政支出39兆円、民間支出を含めると71.6兆円という空前の事業規模の景気刺激策だった。

 岸田首相の総合経済対策は、「円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化」が柱だった。しかし「円安」は、観光業など一部のセクターを除くと、多くの日本企業にとって、かつてのようなメリットがないのが現実だ。製造業のほぼ4分の1はすでに海外に移転し、かつてのような為替レートとの関係も今は薄れている。

 そこで日本企業を国内に呼び戻すために政府が目指したのが「サステナブルな円安」だった。この2年間、政府・日銀はこの総合経済対策に沿って円安政策を実施した結果、ドル/円は今年の7月には約162円まで円安が進んだ。しかしその後は急速な反動によって、現在は147円台まで円高に戻っている。これは総合経済対策が発表された2022年10月28日の終値(147.48円)とほぼ同水準である。岸田政権が目指した「サステナブルな円安」は振り出しに戻ってしまった。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が早ければ来月に利下げサイクルを実施して、入れ替わるように日銀が利上げサイクル向けて始動することになれば、今後のドル/円は円安よりも円高に動く確率が高い。1998年に147.70円まで円安が進んだときは、その3カ月後にヘッジファンドのLTCMが破綻してたった2日間で30円も暴落した。

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」。歴史でまったく同じことが繰り返されることはないが、似たような出来事が起きることはたびたびあるという格言だ。ある日突然、円安が終わる時が来るかもしれない。財務省の神田財務官は円安を抑えるために為替介入をしたが、後任者は円高を防ぐための介入をすることになるかもしれない。

出所:楽天証券作成

今週の注目経済指標

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今日の注目テクニカルレベル

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ヒートマップ分析

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