新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)では、つみたて投資枠と成長投資枠という二つの枠があり、成長投資枠では個別株やアクティブファンドなども含めて、幅広い商品に投資することが可能になっています。 

 筆者は資産形成が目的なら、基本的に世界の幅広い株式を対象としたインデックスファンド1本で十分だと考えていますが、成長投資枠では個別株やアクティブファンドなどへ投資した方がよいのではないかと考える人もいるのではないでしょうか。

 今回は、資産形成を目的とする場合の個別株やアクティブファンドへの投資の必要性についてご説明します。

新NISAで投資できる商品とは?

 新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2種類の枠があると前述しましたが、それぞれで投資できる商品は、次の表のようになります。

新NISAの対象商品と銘柄数

 つみたて投資枠では、2023年までの旧つみたてNISAでの対象商品と同様で、積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象となっており、現在は293本(2024年6月7日時点)の投資信託(ETF:上場投資信託を含む)となっています。

 一方、成長投資枠では、つみたて投資枠での対象商品に加えて、一定の条件はあるものの、上場株式やアクティブファンド、REIT(リート:不動産投資信託)など、かなり幅広い商品が対象となっています。

成長投資枠で対象となる上場株式は日本だけでも約4,000銘柄

 証券取引所に登録されて日々取引できるようになっている上場株式は、日本企業だけでも3,936銘柄(2024年6月14日時点、出所:JPXホームページ)もあります。NISAで対象となる上場株式は日本に限定されるわけではありませんので、米国をはじめとした先進国、そして新興国まで含めると、その数は1万を優に超えてきます。

 これほどの中から投資したい銘柄を探し、適切なタイミングで投資するのは非常に難しいでしょう。また、個別銘柄での投資となると、幅広く分散するにも限度があります。投資信託であれば1本で、数千銘柄といった規模で手軽に分散投資することも可能ですが、個別銘柄でそのように幅広く分散投資していくのはほぼ不可能でしょう。

 経営戦略はどうなっているのか、業績は計画通りなのか、株価に大きな変化はないか、など定期的にチェックしていくことを考えると、その負担はかなり大きなものといえます。

成長投資枠で対象となる投資信託などは2,200銘柄超!

 成長投資枠では、上場株式以外にも、投資信託、ETF、REITがありますが、これらについても合計すると2,236銘柄あります(2024年6月17日時点、出所:投資信託協会ホームページ)。

 インデックスファンドであれば、信託報酬などの手数料と、どのようなインデックスを対象として運用される投資信託かを理解しておけばよいのですが、アクティブファンドの場合、それぞれの運用方針や運用戦略は千差万別ですので、ご自身で比較検討していくのは容易ではありません。

 また長期の資産形成では、運用の途中でファンドマネージャーが交代し、パフォーマンスが悪化してしまう可能性も考えられます。

資産形成が目的なら、全世界株式インデックスファンド1本で十分

 上場株式やアクティブファンドなどの成長投資枠で対象となっている商品については、個別性が高いため選ぶのが難しいことに加えて、継続的なチェックも必要となるため、かなり負担が大きくなります。

 こういった点を踏まえると、長期的な資産形成を目的とするなら、全世界株式を対象としたインデックスファンド1本で十分ではないでしょうか。

 全世界株式インデックスファンドなら、1本で世界の数千銘柄に幅広く投資することができ、個別銘柄の動向をチェックしたりする必要もありません。

 分散投資でリスクを抑えつつ、投資対象となるインデックスの構成銘柄もインデックスの算出ルールに基づいて自動的に入れ替わっていきますので、長期的にも安心して保有を継続していくことが可能なのです。

楽しむための上場株式やアクティブファンドは投資資産の2割以下を目安に

 資産形成が目的なら全世界株式インデックスファンドで十分だと考えていますが、上場株式やアクティブファンドなどを自分で選びながら、投資を楽しみたいという人もいるでしょう。

 そういう人には投資にまわすお金のうち、上場株式などへの金額配分の目安を2割程度などと決めながら投資していくことをオススメします。8割程度をシンプルなインデックスファンドで固めつつ、1~2割程度を目安に、上場株式やアクティブファンドなどを自分で選んで投資してみるのはアリでしょう。

 投資について勉強しながら個別銘柄やアクティブファンドを選んでみることで、理解が深まり、より自信を持って投資を継続していける可能性も考えられます。

 もちろんいろいろ考えるのが面倒だという方は、シンプルにインデックスファンドのみで問題ありません。インデックスファンド、上場株式、アクティブファンドなどのさまざまな商品について、ご自身にとって心地の良いバランスを探ってみていただければと思います。