新しい発想が求められる現代の市場分析

 先ほど、西側の「正しさアピール」が、西側諸国の株価上昇と、非西側との分断を深めて世界全体のリスクを高めたと述べました。全体的に見れば、株価上昇とリスク拡大は同時進行しているのです。

 リスクがあっても上昇し得るのが、現代の株式市場なのだといえます。そう考えることによって初めて、民主主義が行き詰まったり、リスクが拡大したりしている中で、株価が30倍にもなった値動きを説明するための糸口が見えてきます。

 以下の通り、民主主義の変遷とともに市場環境は劇的な変化を遂げてきました。民主主義の流れが始まった1990年ごろの市場環境は、自分のみ(国内のみ)にとどまる、経済学に長けたエリートが現実主義に基づいて導く単純な世界でした。

 しかし、民主主義が行き詰まりを見せて分断が深まり、社会が複雑化し始めた2010年ごろから、一般市民も参加する、他人(海外)が強く関わり社会学で網羅的に観察しなければならない、複雑化した偶像が出現し得る世界に変化しました。

図:1990年以降の世界全体の民主主義と市場環境の変遷(筆者イメージ)

出所:筆者作成

 日経平均をはじめとしたさまざまな市場を取り巻く環境は、1990年前後(日本のバブル絶頂期)と今とで根本的に違っているといえるでしょう。

 今の日経平均は国内に不安材料があっても海外が強ければ上昇し得る(すき間拡大)、その海外は偶像化してどこまでも上昇する可能性すらあるという現在の考え方の前では、1990年前後の国内中心の常識は力不足だと言わざるを得ません。今後の日経平均の動向を追いたいのであれば、過去の常識を捨てて海外を見る。大変に重要なことだと筆者は思います。

[参考]コモディティ(全般)関連の商品例

海外ETF(新NISA成長投資枠活用可)

インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド(DBC)
iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN(DJP)
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG)

投資信託(新NISA成長投資枠活用可)

SMTAMコモディティ・オープン