イランリスクは金(ゴールド)高要因

 イランが西側諸国に原油を輸出できない状態にあることは、先述の「海賊と呼ばれた男」の時代をほうふつとさせます。自分たちの資源を自分たちのために使うことができない、という意味においてです。以下の通り、イランの原油埋蔵量は世界第三位です(オイルサンド除く)。

図:原油埋蔵量上位国(オイルサンド除く) 単位:十億バレル

出所:OPECのデータより筆者作成

 豊富な資源を持っているものの思うように輸出できない環境を強いられている状態はイランにとって本意ではないはずです。もちろん、イラン自身も原油輸出量の減少や財政収支均衡に必要な原油価格の異常な高騰が、国際社会に受け入れられない核兵器開発の代償であることを認識しているでしょう。

 ですがイランは今まさに、核兵器開発をちらつかせたり、イスラエル・ハマスの戦争勃発を機に活動を活発化させているイスラム武装組織に支援をしたりして、世界を混乱の渦に引き込み、短中期的な「有事ムード」をかき立てています。

 また、イランはOPECプラスの一員として産油国としての影響力を誇示したり、2024年1月よりBRICSに加わったりして、「非西側の急先鋒」としてめきめきと頭角を現しています。つまりイランは既に、近年目立つ、西側と非西側の分断の行方を左右し得る重要な立ち位置にあると言えます。

 国際社会はすでに、イランによる「これまで受けてきた制裁への反動」が顕在化するリスクを認識しなければならない時期に入っていると、筆者は考えています。イスラム武装組織への支援は、その一環として行われているとの認識も必要でしょう。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)

出所:筆者作成

 西側・非西側の分断が長期化の様相を呈している中で、イランが積年の想いをぶつけるように、これまで以上に分断を深めてしまう可能性があるため、西側は長い時間軸でイラン起因のリスクに対応していく必要があります。

 イラン起因のリスクは、短中期的にも、超長期的にも、資金の逃避先需要を強める金(ゴールド)相場の上昇要因になり得ると、筆者は考えています。アジアカップ終了後も、長期視点でイランに注目していく必要があります。

[参考]貴金属関連の投資商品例

長期:

純金積立(当社ではクレジットカード決済で購入可能)
純金積立・スポット購入
投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天ポイントで購入可能。新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)に対応)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
三菱UFJ 純金ファンド
ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)

中期:

関連ETF(新NISAに対応)
SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)

短期:

商品先物
国内商品先物
海外商品先物
CFD
金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム