2社とも保有する株式に巨額の評価益、ただし外債には評価損

 ドル金利急上昇で、米国ではシリコンバレー銀行など地方銀行3行が破綻しました。金利上昇ピッチが急過ぎたため、米国の銀行が保有する米国債に巨額の評価損が発生しています。

 日本の銀行も、保有する外国債券に巨額の評価損が発生しています。また、日本の長期金利も上昇し始めているため、国内債券にも評価損が発生しています。

三菱UFJ、三井住友FGの「その他有価証券」評価損益:2023年9月末時点

出所:両社の決算説明資料より楽天証券経済研究所が作成。▲はマイナス(評価損)を示す。三菱UFJの外債含み損はヘッジポジションを勘案後は約▲8,000億円、同社社内管理上の係数。三井住友FGも外債ポジションについてヘッジ取引も活用してリスク量をコントロール

 三菱UFJ・三井住友FGとも、保有する債券に評価損があっても、保有する国内株式に巨額の評価益があるので、財務上の問題はありません。両社とも、株式・債券の評価損益を合わせた「その他有価証券」トータルでは、巨額の評価益を有します。

 保有する外国債券に巨額の含み損が生じたことを、ネガティブにコメントするメディアもありますが、私はそうは思いません。金利上昇によって、将来外債投資で得られる利回りが拡大する効果、預貸金利ザヤが拡大する効果を勘案すると、金利上昇のトータル効果は、銀行業にとってプラスの方がはるかに大きいと考えています。

 実際、ドル金利の上昇に加えて、円の長期金利も上昇してきたことによって、国内海外とも預貸金利ザヤ(貸出金利と預金金利の差)が拡大しつつあります。

 両社とも、不良債権比率は低水準に留まり、財務良好と評価しています。PBR1倍を割れている両社の株価は過小評価で、中長期での投資価値は高いと判断しています。

 最後に告知事項です。筆者は過去に三井住友銀行に勤務したことがあり、三井住友FG株を9,000株保有しています。

日本株で積み立て投資ができるようになりました

 楽天証券では6月1日より、日本株の個別銘柄で積み立て投資ができる「かぶツミ」サービスを開始しました。「毎月3,000円ずつあるいは毎月1株ずつ」など積み立て方法を決めて、積み立てていくことができるようになりました。対象銘柄は、「かぶミニ」の対象となっている1,602銘柄(8月14日時点)です。

 詳しくは以下を参照してください。

 かぶツミ(国内株式積立)

 これまで日本株の積み立て投資というと、日経平均インデックスファンドなどの投資信託が中心でした。これからは、投資信託だけでなく、予想配当利回りが高く、株価が割安と私が判断している三菱UFJなどの個別銘柄にも、積み立て投資を考えて良いと思います。

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