金利が低下していた時でも高水準の利益を維持

 三菱UFJ、三井住友FGとも、金利低下期でも、安定的に高収益を稼いできました。「金利が下がると銀行の収益が悪化する」というイメージは、この2社には当てはまりません。

三菱UFJ、三井住友FGの連結純利益:2014年3月期~2024年3月期(会社予想)

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成。2024年3月期は会社予想

 上の表をご覧いただくと、「金利が下がると銀行の利益が出なくなる」という株式市場の思い込みが誤りであることがわかります。両社の連結純利益は、2019年3月期まで、長期金利がどんどん低下していく中でも安定的に高水準を保っています。

 2020年3月期・2021年3月期は、コロナ禍で信用コスト(貸倒償却および貸倒引当金繰入額)が増加したことによって、利益水準がやや下がりました。それでも、「コロナ禍にもかかわらず高水準の利益を維持していた」と評価できます。

 2022年3月期、2社ともコロナ前の水準に利益が戻りました。三菱UFJは、2015年3月期にあげた最高益を更新しました。想定されたほど貸倒れが発生しなかったことから、貸倒引当金の戻入益が大きくなったことが貢献しました。低金利でも稼ぐメガ銀行の姿がよく表れています。

 発表されたばかりの中間決算(2023年4-9月期)も好調でした。三菱UFJは、最高益更新を見込む今期の純利益目標1兆3,000億円に対し、第1四半期だけで9,272億円を計上しました。通期目標に対する進捗(しんちょく)率は71%でした。

 三井住友FGは、好調な中間決算を受けて、通期の純利益予想を8,200億円から9,200億円に修正しました。新予想に対して、中間期の進捗率は57%です。

 このように、三菱UFJと三井住友FGは、海外収益の拡大とユニバーサルバンク経営によって、低金利でも高収益を稼ぐビジネスモデルを確立していると考えています。今後、国内の長期金利の上昇が続けば、国内商業銀行業務の利益も拡大するので、さらに投資価値が高まります。

前期に続いて今期も増配

 両社とも株主への利益配分に積極的と評価できます。以下の通り、両社とも、コロナ禍で配当を据え置いた2021年3月期を除けば、安定的に増配を続けています。

三菱UFJ、三井住友FGの1株当たり配当金:2017年3月期実績~2024年3月期(会社予想)

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

 両社とも、さらに自社株買いを積極的に行っていることが高く評価できます。ともに株主への利益配分に積極的です。