戦争短期終結がショック回避に効くが…

 第三次中東戦争は「六日戦争」と呼ばれています。1967年6月5日に勃発し、国連決議によって戦闘が停止する同10日までの6日間がその期間だったため、そう呼ばれています。

 陸と空でエジプト、ヨルダン、シリアといったアラブ側を圧倒したイスラエルは、ガザ地区、ヨルダン川西岸、シナイ半島、ゴラン高原を含んだパレスチナ全土だけでなく、エジプトやヨルダンの一部を占領しました。

 短期間で戦争が終了した理由に、国連安全保障理事会(安保理)が迅速に停戦を呼び掛けたことのほか、イスラエルの軍事力がアラブ側をはるかに上回っていたことが挙げられます。これらは、戦争を短期で終わらせるために欠かせない要素です。

 足元、国連は機能不全に陥っています。10月7日の戦争勃発以降、安保理で四回採決が行われましたが(10月16日のロシア案、18日のブラジル案、25日の米国案、25日のロシア案)、全て否決されました。

 いずれも一時休戦・早期の人道支援などが盛り込まれた案でしたが、ハマスを否定していない、イスラエルの自衛権が明記されていない、など、さまざまな理由により、常任理事国の考えが一致しませんでした。

図:国連安全保障理事会決議結果(2023年10月)

出所:国際連合の資料をもとに筆者作成

 10月27日に行われた国連総会で、ガザ地区を実効支配するハマスを否定する文言を加えたカナダの案が反対55となり否決されましたが、このことでハマスを否定しない国が多いこと(全体の四分の一強)が浮き彫りになりました(同文言を外した案(ヨルダンなど40カ国が提案)は賛成120で採択されたものの、法的効力はありません)。

 短期終結を主導するはずの国連が機能不全に陥っているため、この戦争が長期化する可能性が高くなりつつあります。本レポートで述べたとおり、この戦争はエネルギーだけでなく、食料の価格動向をも左右し得る点に留意が必要です。「二重ショック」に気を付けつつ、状況を見守らなければなりません。

 エネルギーと食料価格の高止まりにより物価高が継続する可能性がある現在のような期間においては、エネルギーや農産物を含む、コモディティ(国際商品)全般を指数化した商品(以下は一例)に注目するのも一計かと考えます。

[参考]コモディティ全般の投資商品例

投資信託

iシェアーズ コモディティ インデックス・ファンド
ダイワ/「RICI(R)」コモディティ・ファンド
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Aコース(為替ヘッジあり)
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし)
eMAXISプラス コモディティ インデックス
SMTAMコモディティ・オープン

ETF

インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド (DBC)
iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN (DJP)
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト (GSG)