銅と小麦は、グローバルサウス起因で価格上昇も

 以下の図は、同サミット参加国の銅の鉱山生産シェアの推移です。世界全体の60%強です(2021年時点)。世界の銅生産において、彼らは驚異的なシェアを有しています。

図:グローバルサウスの声サミット参加国の銅の鉱山生産シェア

出所:USGSのデータおよびインド外務省の資料をもとに筆者作成

 同サミット参加国の主要生産国は、チリ(28% 世界1位)、ペルー(12% 同2位)、コンゴ(6% 同4位)、ザンビア(4% 同7位)などです。

 西側が電化で「環境問題」への策である「脱炭素」を進めている中にあって、同サミット参加国(≒グローバルサウス)が、西側との思想の相違を盾に、出し渋り(資源の武器利用)を強める可能性は、否定できません。

 西側と非西側の「分断」は長期化の様相を呈しているため、出し渋り長期化→需給ひっ迫懸念長期化→銅などの非鉄価格長期上昇、というシナリオは否定できません。

 また、「出し渋り」のほか、「大量購入」の懸念もあります。以下は、同サミット参加国の小麦輸入シェアです。輸入に回る小麦の半分以上を、彼らが購入しています。

図:グローバルサウスの声サミット参加国の小麦の輸入シェア

出所:USDAのデータおよびインド外務省の資料をもとに筆者作成

 しばしばニュースで目にする、「食料の安全保障」というキーワードは、買い占めの動機になり得ます。異常気象により、バッタが大量発生したり干ばつが起きたりして、しばしば飢饉(ききん)に見舞われるアフリカ諸国の多くは、同サミット参加国です。同サミット参加国の「大量購入」にも警戒が必要です。

 同サミット参加国(≒)グローバルサウスによる、「出し渋り」や「大量購入」は、コモディティ(国際商品)価格を、全体的に押し上げる要因になり得ます。銅価格の上昇は、その他の非鉄金属(アルミニウムや亜鉛、鉛など)の価格を上向かせる、小麦価格の上昇は、その他の穀物(トウモロコシや大豆など)の価格を上向かせる場合があります。

 西側と非西側の分断が深まれば深まるほど、非西側に属する「グローバルサウス」の存在感が強まることが予想されます。引き続き、グローバルサウス各種データ(人口、GDP、自由民主主義指数、国連決議の回答動向、銅の生産量、小麦の輸入量など)、それらに呼応して動く可能性があるコモディティ価格の動向に、注目していきたいと思います。

[参考]コモディティ関連の具体的な銘柄

投資信託

iシェアーズ コモディティ インデックス・ファンド
ダイワ/「RICI(R)」コモディティ・ファンド
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Aコース(為替ヘッジあり)
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし)
eMAXISプラス コモディティ インデックス
SMTAMコモディティ・オープン

ETF

iPathピュア・ベータ・ブロード・コモディティETN (BCM)
インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド (DBC)
iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN (DJP)
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト (GSG)